破産手続開始によって従前の役員は当然に地位を失わない. - 民事事件 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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破産手続開始によって従前の役員は当然に地位を失わない.

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債権回収

破産手続開始によって従前の役員は当然に地位を失わない.

会社が破産手続開始を受けた場合、破産財団の管理・処分に関する権限については、破産管財人に専属するが(破産手続終了後の会社財産については従前の取締役ではなく別に精算人の選任をすべきである。)、従前の取締役は破産手続開始後も会社法の組織法上の行為について代表権を有する。

[1]大審院大正9・5・29民録26輯796頁

旧々商法による破産宣告後に、会社設立無効の訴えについて、従前の取締役が代表権を有する。

[2]大審院大正14・1・26民集4巻1号8頁

株式払込み失権通知無効確認の訴えについて、破産管財人の破産財団の管理処分に関する事項ではないから、従前の取締役の地位を失うものではない。

[3]大審院大正14・4・20民集18巻8号495頁

合資会社から株式会社への組織変更無効による会社不成立確認の訴えについて、破産管財人ではなく、従前の取締役によって代表される会社である。

[4]最高裁昭和43・3・15民集22巻3号625頁

株式会社が破産宣告とともに同時破産廃止の決定を受けた場合において、なお残余財産があるときは、従前の取締役が当然に清算人となるものではなく、旧商法第四一七条第一項但書の場合を除き、同条第二項に則り、利害関係人の請求によって、裁判所が清算人を選任すべきものと解するのが相当である。

[5]最高裁平成16・10・1判例時報1877号70頁

破産者が株式会社である場合において,破産財団から放棄された財産を目的とする別除権につき,別除権者が破産者の破産宣告当時の代表取締役に対してした別除権放棄の意思表示は,これを有効とみるべき特段の事情の存しない限り,無効である。

[6]最高裁平成16・6・10民集58巻5号1178頁

1 有限会社の取締役は,会社が破産宣告(ただし、同時廃止の事案)を受けた後であっても,火災保険の保険契約者又は被保険者の取締役の故意等によって生じた損害に対しては保険金を支払わない旨の約款中の免責条項にいう「取締役」に当たる。
2 有限会社を保険契約者兼被保険者として締結された火災保険契約に適用される約款中に,保険契約者又は被保険者の取締役の故意等によって生じた損害に対しては保険金を支払わない旨の免責条項がある場合において,当該有限会社の取締役が会社の破産宣告後に保険の目的である建物に放火し,当該建物が焼失したという事実関係の下では,上記放火による建物の焼失は,上記免責条項にいう「取締役」の故意による事故招致に当たる。

[7]最高裁平成21・4・17判例時報2044号74頁

株式会社の取締役又は監査役の解任又は選任を内容とする株主総会決議不存在確認の訴えの係属中に当該株式会社が破産手続開始の決定(ただし、同時廃止の事案)を受けても,上記訴訟についての訴えの利益は当然には消滅しない。

(参考)中島弘雅「会社が破産した場合に、従前の役員がその地位を失うかどうかが争われた事件」ビジネス法務2010年8月号110頁

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