「ちょっとイラッとしました・・・」
彼女は私に少し顔を曇らせながら言いました。
これは、コーチが大勢集まっての集合研修の時に私が言われた言葉です。私がコーチ役、彼女がクライアント役でショートコーチングのエクササイズを行った後に、クライアント役の彼女は、開口一番こう言われたのでした。
彼女がそう言うのも無理はありません。私は、その日の研修でのテーマである「目から入ってきた相手の様子を、アイメッセージで相手に伝えながら相手の話を聴く」を実践しようとして、自分が感じたことを中心に「私には、こう感じます。このように受け取りました。」と伝えていったのです。
しかし、この時私には、相手の反応よりも、自分が習ったことを相手に伝えることに気持ちを奪われていました。単に自分が感じたままを言いたいように言っていたのです。まだ、初対面で信頼関係も何も出来ていないのに、です。だから彼女が気を悪くするのも無理はありません。
アイメッセージとは、自分がどう感じたか、どう思ったか、どう見えているかと言う自分視点を、相手に「私にはこういう風に感じられた。」と言うように伝えるコミュニケーションスキルです。これは、ユーメッセージのように「あなたはこうだ。」「あなたはこう言っている」という風に、相手の発言や行動そのものに言及するものではありません。あくまでコーチ自身が感じたことを、出来るだけ加工をせずに相手に伝えるのです。
アイメッセージは、あくまでもコーチ側の解釈です。クライアントもコーチもそれぞれ違った価値観や思考パターンを持っています。だから、コーチである私が思ったことです。しかし、それは相手がどう受け止めるかを配慮しながら伝えなくてはなりません。自分が言いたいように言うことではないのです。
このセッションでは、私は私の感じたままを言いました。もちろん、非難や批判や否定の言葉ではありません。クライアントの表情と、発している言葉にギャップを感じたから伝えたまでです。しかし、彼女は「え?そこなの?」と感じたようで思考を止めてしまいました。その結果、その後のコーチングはお互いに苦しいモノになりました。
そして、そのコーチングエクササイズ(練習)を終えた後にクライアント役の彼女からもらったフィードバックが、冒頭の言葉です。
なぜ彼女がイラッとしたのかと言う点に関して、私はひとつの学びを得ました。
コーチングは、お互いがお互いを信頼する事によって成り立っています。コーチの関心、興味のおもむくままにクライアントに対して問いかけをしてはいけないのです。まずは「信頼関係」があることが最重要なのです。その為にはまずは徹底的に「聴く」事が重要になります。そして、最初のアイメッセージは、相手が聞いていて嬉しくなるようなポイントを掴まねばなりません。信頼関係も無いのに、疑問をぶつけても聴きたくは無いのです。
今回の学びは、まさしくコーチングの基本。「信頼関係の構築」でした。
自分の関心は二の次で良いのです。まずは相手が安心して話せる環境作り、そこにフォーカスを当てることが大切なのです。
さて、あなたは、「最初に信頼関係ありき」をどれくらい意識されていますか?
是非一度見直して見て下さいね。きっと、クライアントから新しいお話を聴けるようになりますよ。
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