- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:労働問題・仕事の法律
ビジネス法務 2010年 11月号 [雑誌]/中央経済社
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ビジネス法務2010年11月号、労働法
「実務を変えた!最新ビジネス判例30選」と題して特集が組まれている。
伊予銀行・いよぎんスタッフサービス事件(最高裁平成21・3・27決定)、NTTグループ企業年金減額不承認処分事件(最高裁平成22・6・8決定)のほか、日本IBM会社分割事件(最高裁平成22・7・12)の評釈が掲載されている。
・伊予銀行・いよぎんスタッフサービス事件(最高裁平成21・3・27決定)
・NTTグループ企業年金減額不承認処分事件(最高裁平成22・6・8決定)
・米国ジョージア州解雇事件(最高裁平成21・10・16民集第63巻8号1799頁)
米国の州によって同州港湾局の我が国における事務所の現地職員として雇用され,解雇された者が,雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認及び解雇後の賃金の支払を求めて提起した訴訟について,同事務所には我が国の厚生年金保険等が適用され,その業務内容は同州港湾施設の宣伝等であり,財政上の理由による同事務所の閉鎖が解雇理由とされていたなど判示の事実関係の下では,同人の解雇は私法的ないし業務管理的な行為に当たるところ,これを肯定しながら,上記訴訟が復職を主題とするものであるなど同州の主権的権能を侵害するおそれのある特段の事情があるから同州は我が国の民事裁判権から免除されるとした原審の判断には,違法がある。
・日本IBM会社分割事件(最高裁平成22・7・12民集 第64巻5号1333頁)
1 株式会社の新設分割において,会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(平成17年法律第87号による改正前のもの)3条によれば分割をする会社との労働契約が分割によって設立される会社に承継されるものとされている労働者と,当該分割をする会社との間で,商法等の一部を改正する法律(平成12年法律第90号。平成17年法律第87号による改正前のもの)附則5条1項に基づく労働契約の承継に関する協議が全く行われなかった場合,又は,上記協議が行われたものの,その際の当該会社からの説明や協議の内容が著しく不十分であるため法が上記協議を求めた趣旨に反することが明らかな場合には,当該労働者は当該承継の効力を争うことができる。
2 株式会社の新設分割において,会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律(平成17年法律第87号による改正前のもの)3条によれば分割をする会社との労働契約が分割によって設立される会社に承継されるものとされている労働者と,当該分割をする会社との間で行われた,商法等の一部を改正する法律(平成12年法律第90号。平成17年法律第87号による改正前のもの)附則5条1項に基づく労働契約の承継に関する協議は,次の(1)~(3)など判示の事情の下では,上記協議の際の当該会社からの説明や協議の内容が著しく不十分であるため法が上記協議を求めた趣旨に反することが明らかであるとはいえず,当該労働者につき当該承継の効力が生じないということはできない。
(1)当該分割をする会社は,労働者の代表者への説明に用いた資料等を使って労働者への説明や承継に納得しない労働者に対しての最低3回の協議を行った。
(2)当該分割をする会社は,当該労働者を代理する労働組合との間で,7回にわたる協議を行うとともに書面のやり取りも行うなどし,分割後に当該労働者が勤務する会社の概要や当該労働者が承継される営業に主として従事する者に該当することを説明したものであり,その説明が不十分であったがために当該労働者が適切に意向等を述べることができなかったような事情もうかがわれない。
(3)当該分割をする会社が,分割によって設立される会社の経営見通しなどにつき当該労働者が求めた形での回答に応じなかったのは,上記会社の将来の経営判断に係る事情等であるからであり,在籍出向等の要求に応じなかったのは,合弁事業実施の一環として行われた当該分割の分割計画ではこの目的を前提に従業員の労働契約を上記会社に承継させることとされていたからであって,いずれも相応の理由があった。
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