『時間』を創り出す - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

須永豪・サバイバルデザイン 
長野県
建築家

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:住宅設計・構造

牛込 哲也
牛込 哲也
(建築家)
須永 豪
(建築家)

閲覧数順 2023年05月29日更新

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

『時間』を創り出す

- good

  1. 住宅・不動産
  2. 住宅設計・構造
  3. 住宅設計・構造設計
建築的 月の家
月の家の居間への入口、ここの引戸のガラス幅はグラデーションになっている。
細い方が幅20mmで、だんだん広くなって最後は幅65mm。
オープンハウスのときカミさんから、
「へー、こういう建具を作るのはあなたにしては珍しいね。なんでこうしたの?」
と訊かれたのだが、うまく答えが見つからなかった。
なんとなく でも 確かに、ここはグラデーションがいい、と思っていたのだった。
それから数ヶ月経って、ようやく自分でもわかった。
僕はここに『時間』を創り出そうとしていたのだ。
この家の居間は、奥様のお仕事であるリーディングのお客さんを招く場としても使われる。
来客にとっては、この居間は聖なる場所。
その部屋にたどり着くまでには、心の準備のための長いトンネルが必要なのだ。
たった一歩、1帖ほどの踏込みだが、グラデーションの効果と相まって、
そこに時間が流れる。
実際にはそれは1・2秒のはずだが、目がグラデーションのガラスに遊ばされることによって、
それが訪れるひとの心の内部で充分な心理的奥行きとなる。
そしていま、この文章を書いていたらもうひとつ気が付いた。
じつは、この踏込みと建具は、無意識のうちにバラガンのギラルディ邸がモチーフになっていたようだ。
この踏込は居間とおじいさんの和室との接続ともなっているので、
当初からの思いであった「おじいさんの部屋をハナレ的につくる」ということにもズバリ合致している。
ここはやはり長い渡り廊下なのだ。
リフォームという不自由のおかげで、人間の能力は引き出されるみたいだ。
http://www.sunaga.org/works/tsukinoie.htm

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(長野県 / 建築家)
須永豪・サバイバルデザイン 

人間らしい「サバイバル」ってなんだろう?

安心して寄り掛かれるおおきな木のような存在感と、ジャングルジムのような自由さと、楽器のような豊かな響きがある空間。そういうものを、木でつくりたい。

カテゴリ 「建築的」のコラム

雑誌 Goodリフォームで(2006/12/14 00:12)