- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
時間外・休日労働の割増賃金
労働時間は、使用者の指揮命令下におかれていると評価できる時間であって、客観的に定まり、労働契約、就業規則、労働協約などに左右されない( 最判平成12・3・9三菱重工業長崎造船所事件)。
時間外労働が許される2つの例外(労働基準法32条違反の罰則、労働基準法119条)
・災害その他避けられない事由により臨時の必要性がある場合で、労働基準監督署に届け出た場合(労働基準法33条)
・36協定(労働基準法36条、労働契約法施行規則16条)による時間外・休日労働
延長時間の上限(厚生労働大臣告示。例えば、1か月で45時間)、休日労働の回数など。
36協定の労働基準監督署長に届出義務、周知義務(労働基準法106条)
残業義務について、 個々の労働者に関して、36協定以外に、就業規則・労働契約で定める必要あり(最判平成3・11・28日立製作所事件)
割増率(平成22年4月1日施行の労働基準法37条1項3項、労働基準法施行規則20条)
所定内 労働基準法内ならば、割増はなくても可能(就業規則)
法定外 25%
深夜(22時~午前5時)・法定外 50%(25%+25%)
法定休日 35%
法定休日深夜 60%(25%+35%)
以下については、中小企業は当分の間、適用除外
通常の法定外労働時間が1か月60時間超 50%(25%+25%)
深夜の労働時間が1か月60時間超 75%(25%+50%)
ただし、労使協定により定めた「代替休暇」(平成22年改正の労働基準法37条3項、労働基準法施行規則19条)を与えることによって、上記の25%の特別の割増分は支払わなくてもよい。
残業代の計算式(労働基準法37条2項、労働基準法施行規則21条)
月給制の場合、月によって所定労働時間が異なるときは、1年の所定労働時間を月数で割って算出する。
基礎賃金から除外されるもの(労働基準法37条4項、労働基準法施行規則21条)
家族手当
通勤手当
別居手当
子女教育手当
住居手当
臨時に支払われた賃金(例えば、①臨時的・突発的なもの、②支給事由が不確実なもの、結婚手当など)
1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
・なお、変形時間制やフレックスタイム制の場合
一定の清算期間ごとに、それを超過する労働時間を、時間外手当を請求する。
例えば、1週40時間の変形労働時間という場合、1週間で40時間を超えた労働時間を時間外として計算する。
事業場外のみなし労働時間(労働基準法38条の2)
みなし労働時間は、1日単位。例えば、労働時間を1日8時間とみなすことは許されるが、1週間40時間などは許されない(行政通達)。
時間単位年次有給休暇(平成22年改正労働基準法39条4項)の新設。
1年に5日を限度として、労使協定により、時間単位で年次有給休暇を取得できる(労働基準法39条4項)の新設。
労働時間の例外(労働基準法40条)は1週44時間
事業場ごとに常時10人未満の労働者を使用する商業(別表第一8号)
映画の映写、演劇業(10号)、映画製作は含まれない。
保険衛生業(13号)
旅館・飲食店・接客業(14号)
時間外・休日労働の割増賃金(労働基準法37条1項)について、以下の場合には、労働時間・休憩・休日の規定の適用が除外される。
・管理監督者(労働基準法41条2号)
・機密事務取扱者(同号)
・監視・断続的労働従事者(労働基準法41条3号)
深夜割増賃金(労働基準法37条4項)については、労働基準法41条2号の規定により適用が除外されない。したがって、労働者は、深夜割増賃金を請求できる。
ただし、一定額の深夜割増賃金が支払われている場合には、超過分についてのみ支払義務が生じる( 最判平成21・12・18)。
このコラムに類似したコラム
残業代(研修)を受講しました。 村田 英幸 - 弁護士(2013/07/11 11:49)
労働時間該当性 村田 英幸 - 弁護士(2013/06/28 08:17)
残業代等請求の実労働時間の証拠 村田 英幸 - 弁護士(2013/06/27 12:19)
「労働関係訴訟の実務」 村田 英幸 - 弁護士(2013/06/22 08:32)
時間外手当・割増賃金・残業代の基礎、その2 村田 英幸 - 弁護士(2013/07/11 11:52)