この高額扇風機の中心が、バルミューダのTさんです。元来はミュージシャンでしたが、あるとき起業を思い立ち、パソコンの冷却台作りを始めた人です。その後、パソコン周辺機器の製造をしていましたが、08年9月のリーマンショックで会社は危機的な状況に追い込まれ、そのとき開発を考えたのが扇風機です。
将来は間違いなく省エネの時代が来る読みがあって、家電メーカーの大半が開発を止めていた扇風機に絞っての開発です。しかも、1万円以下の製品が大半の市場で、34800円の高額製品です。購入した人は、心地よいそよ風と、音がまったくないことに感動しています。皆さん、高い高いといいながら買っています。
わたしが起業の視点から気になるのは、元ミュージシャンの経歴です。会社運営や製品開発に、ミュージシャンの感性が相当生かされています。元ミュージシャンと聞いて頭に浮かぶのは、スタートツゥデイの前澤友作さんです。アパレル通販の「ZOZOTOWN」を設立して、衣料は通販では売れないジンクスを一掃しました。
ミュージックセキュリティーズの小松真実さんも、ミュージシャン時代に音楽仲間の資金繰りを楽にする目的で、ファンドを立ち上げるところから起業に向かいました。音楽ファンや投資家と、ミュージシャンとをファンドで結びつける発想は、それまでの日本人にはなかった発想です。現在は、被災地の企業支援でも有名です。
現代人は、動物的感性が弱っているといわれます。そんな時代に、音楽で感性を研ぎ澄ました人たちが、起業において感性を生かすことは素晴らしいことです。感性は決してミュージシャンに限りません。今は、感性が受け入れられる時代到来です。誰もがもっている感性を磨くことが起業にプラスになります。
【一言】
感性ばかりに頼ると、企業経営は痛い目にあいます。そのため、パートナーには、ブレーキ役をしてくれる人を探す必要があります。感性はアクセルですから、会社経営にはバランスが大事です。マーケティング万能の時代に、ストリー性のある商品やサービスを感性で売ることは、冒険ですがやりがいのある冒険と言えそうです。
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