- 田尻 健二
- 心理カウンセラー・産業カウンセラー・夢分析家
- 東京都
- 心理カウンセラー
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日本人の心性に適した精神分析理論~自己心理学
「他人の出来事をまるで自分のことの ように嬉しく感じる」という感覚、日本人の私たちでしたら当たり前に感じるものでしょうが、個人の自律や、自他の区別をはっきりと意識する西洋の価値観の 中から生まれた精神分析では、このような感覚について研究されることはほとんどありませんでした。
その精神分析で、このような日本人の感覚も説明できるような理論が1970年頃に登場したハインツ・コフートの自己心理学です。
自己心理学の理論の一つに「自己対象」と呼ばれる概念があります。自己対象とは、物理的には他人は自分とは異なる存在であると認識できていても、気持ちの上では他人を自分とは別個の心を持つ存在としてではなく、自分の心の一部として感じている時の相手のことを指します。
これは気持ちの上では自他の区別が非常に曖昧になっている状態であり、これは親しい人に対して「いちいち言わなくても分かってくれる」いわゆる「阿吽の呼吸」を期待する日本人の心性を説明するピッタリの概念だと思います。
なお、この阿吽の呼吸も親しい間柄で、かつ次のような条件を満たすようなものでしたら、日本社会ではそれほど問題にはなりません。
むしろお互いのことを深く理解し合えているという感覚に繋がることもあると思います。
・常にというほど過剰なものではない
・阿吽の呼吸を期待する人がいつも決まっているような一方的な関係ではなく、お互いにそれができるような互恵的な関係にある
しかし相手がそれほど親しくない人となると話は別です。その場合、相手の方は過度の要求をされたとして負担に感じてしまいます。
「阿吽の呼吸」を期待し過ぎるのが、病理的な自己愛の心理の特徴:
実はこのように、それほど親しくない人に対しても阿吽の呼吸による理解を「当然のように」期待してしまうのが、病理的な自己愛の心理の特徴です。
その結果、期待どおりの反応を示してくれない相手の態度に腹を立てたり、あるいは「理解してもらえない」と感じて落ち込んだり、もしくは相手を自分の期待どおりに振る舞わせようとして強引に巻き込んだり、といったことが生じ、これが人間関係の大きなトラブルに繋がります。
ただし日本では、ある状況ないしは関係によっては、それほど親しくない人に対しても阿吽の呼吸を期待することが当然視されている風潮があるように思えます。
このコラムの執筆専門家
- 田尻 健二
- (東京都 / 心理カウンセラー)
- 心理カウンセラー・産業カウンセラー・夢分析家
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