- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
貴族と奴隷。
何でも限定正社員なるものが出来るのだそうです。
今の日本社会は正規社員と非正規社員とにまっぷたつにわかれており・・
そこには貴族と奴隷ほどの格差が生まれているようです。
理屈ではこの格差をなくすために作るのだそうですが?
が・・
これって何のことはない絶対に正社員にはしない正社員は増やさないと宣言しているようなもんではないのでしょうか。
雇ってる側とそれを管理している人達は何があろうと正社員を増やすつもりはないようです。
つまり正社員はおいしい・・
貴族の特権を手放す気などさらさらないということなのでしょう。
正社員が増えてしまったら特権が減ってしまいますから。
まあ、自営業自由業の当方としては何の関係もない話ではあるのですが・・
建築業界もご多分には漏れません。
現場の職人さんはもとより、今や工務店や設計事務所などでも社員は非正規社員ばかりです。
今回の現場を担当してくれた監督さん大工さん・・
住宅メーカーの営業さん企画さん・・
設計事務所の担当者さん・・
みなみな非正規社員。
アフターサービスを頼む際にはみなみなもういません。
お客さんが何かあってちょっと携帯に電話をかけても、ただいまお掛けになった電話番号は使われておりません・・
実際に数年後に工務店から私の所に・・
あそこの天井に埋め込みエアコンをつけたいと問い合わせがあったのですが、中がどうなっているのかわかりませんかと問い合わせが来たり・・
営繕課に外壁と屋根の改修依頼があったのですが、図面がなくなってしまったのでくださいとか・・
ひどい話だと配管を直すために掘ったのですがありませんがどこにあるのでしょうとか・・
そんな話が本当に増えています。
その建物のことを一番よく知っている実際に造った人達が数年後には誰一人としていないからです。
みんなその工事だけのために雇われた非正規社員ですから工事が終わればクビ・・
これは建築にとっては致命的になりかねないことです。
建築は建ててから何十年もそこにあり、その間は建てた人達が面倒を見なければならないのですから。
本当にんな世の中に誰がした?
などと思うところです。
昔はサラリーマンとして何年も勤めていた身としては・・
だって、私が会社勤めをしていた十数年前まで、そんな非正規社員なんて言葉は聞いたことがなかった。
そんな人はほとんどいなかった、少なくとも建築業界には。
役所などはその最たるものなようです。
一般の人が接する窓口を担当しているのはみんな非正規社員です。
だからお昼でも対応してくれますしみんな大変親切です。
正社員はどんこにいるのでしょう・・
現場にやってくる検査官、みんな非正規社員です。
めんどくさいことは正社員はしません。
実際に対応してくれる役所の担当者など・・
へたすると、全然違う民間会社の名札つけてたり民間会社の制服着た人までやってきます。
正社員は奥で新聞読んでる人達なようです。
まあそんなもんでしょう、だって貴族ですから。
ただ・・
おかげで役所の技術力は最近非常に高くなったという実感は感じられます。
なんだか凄い話ですが・・
今の日本ってそんな程度なようです。
雇う側からすればはるかに安い人件費ですむのですからやめるわけがない。
やめてしまえば当然コストがかかり競争力が落ちて同業他社に負けてしまいます。
全員がいっせいにやめます!
と言わない限りはなくならないでしょう。
そのためには法律だと思うのですが・・
まあ・・
その法律をつくる人達がその役人ですから。
日本一の貴族ですからね。
そんな法律で限定正社員なるものをつくるということなのだそうです。
部分的に正社員にしてすぐクビに出来る社員ってことなのでしょうか?
なんだそれは雇う側の都合だけか。
ようするに絶対に正社員は増やさないってことなのでしょう。
新しい種類の奴隷が生まれます。
だって貴族ですから。
自分で自分の損になることなどしないでしょう。
Atelier繁建築設計事務所HP
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