
- 志田 茂
- 志田茂建築設計事務所 代表
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
「住まい」とは、自己所有の家やマンションだけの事ではありません。賃貸だってそこで借主がまたその家族が安心し幸せに暮らせる場なら、それは「住まい」です。
Y氏に起こったとんでもない出来事の原因は、不動産屋どうしの連絡がうまくいかなかった事です。しかしそれは、当事者のY氏とは関係のないところで決まってしまった事。賃貸といえど「Y氏の家族が楽しみにしていた住まい」をこんな事でダメにしていいのでしょうか?
特にオーナー側の不動産屋は「誰のために」仕事をしているのでしょう?
彼が本気でオーナーの代理として行動しているのであれば、一日に何度も電話すればよく、もしくはY氏に直接連絡する事もできたはず。仲介の不動産屋に腹を立てるなら「そんな業者だから直接うちと交渉してもらえないか」と言えたはずです。Y氏の話を断った事は、部屋の空き期間を延ばした事になったわけで、オーナーにとっても実は利益などありません。つまり「誰のために」仕事しているのかがわかりません。オーナーのためでもなく借主のためでもなく・・。もっとも、そんな不動産屋ですから「もっと条件よく貸せる客」を決めてしまったのかもしれませんが・・・
不動産にまつわるトラブルはたくさんあります。金額の大きさに比例しそれに伴う「夢」も大きく、その夢が崩れた時、それが当事者の心に及ぼす影響は計り知れません
我々は「誰のために」仕事をするか・・・・
もちろん、私達は「依頼者のため」です。依頼者ご家族が安心して心から幸せに暮らせる場を作るためにこの仕事をしています。なにより「夢」を実現し「笑顔」を見たいのです。それには多大な時間と労力を必要とします。実現のために、依頼者と共に悩み、問題を解決していきます。もっとも「労力」と思っていたらやってはいられません。
でも、それができるのは・・・
「共に作る事」を求められた時だけですが。。
(終)