- 鈴木 祥平
- 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:企業法務
- 尾上 雅典
- (行政書士)
- 尾上 雅典
- (行政書士)
事業を営む方々にとっては、身近な契約と言えるリース契約ですが、リース契約を締結する際に注意をしなければならない点についてお話したいと思います。リース契約という場合には、そのほとんどが「ファイナンス・リース」ですから、これからお話する「リース契約」というのは、「ファイナンス・リース契約」のことだと思ってください。
リース契約を締結する場合には、登場人物が3人います。リース会社(L)とサプライヤー(S)とユーザー(U)の三人です。
リース取引とは、リース業者が物件の利用を希望しているユーザーのために、ユーザーがサプライヤーとの閒で交渉・決定した物件をリース業者がユーザーに代わって購入して、
ユーザーとリース業者との閒で締結したリース契約に基づいて、物件をユーザーに使わせて、ユーザーがリース期間内において支払うリース料によって物件の購入代金、金利、費用、所手数料を回収しようとするものです。
コピー機のリース契約を例にとって考えてみると、個人で商売を営むAさんが業務上コピー機を使いたいと思って、X社(サプライヤー)が販売しているコピー機を使いたいとします。この場合、リース業者は、Aさんの依頼を受けてX社からコピー機を購入して、それをAさんに使わせます。そして、Aさんは、リース期間内に月々リース料を支払うことになります。このリース料の中からリース業者は、コピー機をX社から購入した代金、金利、費用、所手数料を回収するわけです。
リース契約を締結する場合には、以下の5つの点に気をつけなければなりません。
(1)リース物件の所有権は誰に帰属するのか?
リース物件の所有権はリース会社に帰属します。リース会社が資産として計上し、リース物件の耐用年数に応じて減価償却を行うことになります。
リース期間が満了した場合は、
①改めてリース業者とユーザーとの閒で「再リース契約」をする。
②リース物件をリース会社に返還する。
③廃棄処分することになります。
どうしてもユーザーの資産としたい場合には、リース会社は割賦販売も取り扱っていますから、「割賦販売契約」(分割で買う)というのも1つの方法であるといえます。
(2)リース契約期間中の中途解約についてはどうなっているのか?
「リース契約」においては、契約期間中にユーザーからリース契約を解約をすることはできません。ですから、リースを利用する場合は、少なくともリース期間中は解約せずに利用するということが必要です。リース期間の途中でリース物件がいらなくなって、どうしてもリース契約を中途解約したい場合には、リース期間の未払いリース料相当額の違約金を支払うことになります。短期間で利用する物件は、「リース契約」ではなく「レンタル」(賃貸借)を利用したほうがよいでしょう。
(3)リース物件のメンテナンス(保守)はどうなっているのか。
リース契約の期間中、リース会社はリース物件のメンテナンス(保守)を行いません。で
すから、ユーザーはリース契約とは別にリース物件の売主との間で「メンテナンス契約」(いわゆる「保守契約」)を締結する必要があります(もちろん、特約で保守契約がついているものもあります)。
(4)リース物件の瑕疵担保責任はどうなっているのか?
リース契約の対象であるリース物件に不具合(「瑕疵」)があって動かない場合、リース会社は責任を負うことはありません。「瑕疵」がある場合には、ユーザーと売主との間で解決すべきこととされています。
リース会社が瑕疵担保責任を免責されているのは、どうしてかというと
【リース会社の瑕疵担保責任が免責されている理由】
①リース物件を選んだのはユーザーであること
②リース会社は物件についての専門的知識や技能をもっていないこと
③リース料に瑕疵を担保するような費用が入っていないこと
などの理由によってです。
ですから、リース物件を選ぶときには、十分に信用できる売主を選ぶことが重要になります。
(5)リース物件の危険負担はどうなっているのか?
例えば、リース物件が地震などによって損傷してしまったという場合についてもリース会社はその責任が免責されています。
ですから、損傷してしまったリース物件についてはユーザーが費用を負担して修理することになります。一般的には、リース料の中には「損害保険料」が含まれており、リース物件には「損害保険」がつけられています。通常の損傷であれば「損害保険」でカバーされますが、事故の原因によっては「損害保険」ではカバーされないケースもあるので、契約時に保険の内容を確認しておくといいと思います。
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