『高峰秀子~夫婦の流儀~』 斎藤明美編 - その他の心と体の不調 - 専門家プロファイル

徐 大兼
アキュラ鍼灸院 院長
東京都
鍼灸師

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対象:心と体の不調

茅野 分
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市原 真二郎
(カイロプラクター)

閲覧数順 2024年04月25日更新

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『高峰秀子~夫婦の流儀~』 斎藤明美編

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今回ご紹介させていただくのは、「高峰秀子~夫婦の流儀~」。題名を見て、まよわず手にとってしまったこの一冊。
パラパラとめくる、そのページのすべてがとても小気味いい言葉で楽しげに綴られていて、立ち読みでは物足りなくなって迷う間もなくレジに向かっていました。

というのも、急いで読んでしまうのではなくて、のんびりとした自分の気分のいいときに一文字一文字味わいながら読みたい内容だったからです。


日本映画「二十四の瞳」「浮雲」「稲妻」などに出演した、戦前・戦後を生きた女優「高峰秀子」さん。彼女は脚本家・映画監督の「松山善三」さんと結婚しました。

結婚した当初は、大スターで国民的アイドルであった高峰秀子さんと、ほとんど無名に近い脚本家・松山善三さん。とても収入差がある二人の結婚でした。
今回ご紹介する本「高峰秀子~夫婦の流儀~」は、そんな二人が2010年に高峰秀子さんが亡くなるまで仲睦まじく結婚生活を送った、その秘訣とでもいうか、美しいまでのお互いに対する心使いが一冊にまとめられた本です。

「夫婦」という生活について「約束」「収入」「住居」「食事」「子供」「喧嘩」などなど「夫婦をめぐる10のキーワード」と題してまとめられています。
著者はお二人の養女になった作家の「斎藤明美」さん。夫婦のキーワードを説きながらも高峰さんや松山さんが実際にお互いや結婚生活について書かれたエッセイも織り込まれていて、引き込まれるように読み進んでしまいました。

時代背景も今とは全く違うので、そこは面白さととらえても読める作品。
夫・松山さんがリヤカーいっぱいの本を積んで高峰さんの麻布の豪邸に引っ越してきた逸話にも、なんだかにこりとしてしまいます。

ご夫婦が5年、10年、25年…と、結婚生活を振り返った対話式のエッセイが読めるのですが、お二人の今までの結婚生活の感想をついつい自分の結婚生活とシンクロさせて読んでしまいました。

時が経つごとに芽生える結婚生活やお互いへの感情に「ああ~そうだよね~」とか「わかるなー」と共感してみたり、しみじみ自分の結婚生活を振り返ってやや反省してみたり、「同じだなー!そうかこれが秘訣かー!」と喜んでみたり…。


もちろん「夢の結婚」「愛し合う二人」という甘い側面だけではなく、「愛だけでは結婚生活は続かない」ということを十分承知していたお二人。
生まれも育ちも違う、赤の他人が同じ家で暮らし、生活することの大変さをも説いています。

世の中の夫婦の数だけ夫婦の形が存在し、何が正しい夫婦の形というわけではなく、大切なのはお互いの価値観。そう松山さんは言っています。
インタビューからうかがえる高峰さんはかなり思量深い方で、結婚生活や夫婦の関係が上手くいくようにと、とても真面目にそして誠実に相手を気遣っているのです。

とはいえ高峰さんが結婚について語っている記事を読むと、彼女はあの映画の中のヒロインのまま、無邪気でいて妖艶な美しさで、文章からも感じ取れる独特なおちゃめさやそのあらゆるすべてが愛さずにはいられない。私が松山さんならそう思ってしまうほどの、愛くるしい人間性を感じました。

結婚当初の若いお二人の写真から、大分お年を召してからの自宅で、外出先で、旅の途中で、ありとあらゆる場所でのお二人の笑顔の写真がたくさんあって、二人がどのような時を過ごしたのかがよく見て取れました。それは枚数かの多さからも、表情からも、そのシチュエーションからもです。
たくさんの幸せな写真が残っているって、なんて素敵な事なんでしょう。


夫婦をめぐるキーワードのラストは「老い」でしめくくられています。

~いくら仲の良い夫婦でも、同じスピードで老いることはできず、二人同時に死ぬこともできない。しかも、老いも死も、いつやってくるか、わからない。~

明美さんのこの言葉をひしと実感してしまうと、なんだか底知れぬ寂しさを感じてしまうのですが、松山さんと高峰さんは最後の最後まで華麗でいて万全な「準備」を整えるのです。
それは物理的な事もそうですが、心までもきちんと整えているのでした。


人生の大先輩が「夫婦」という二人の関係性を中心としながら「人生感」について説いているこの本。自分を反省してみたり、今後に思いを馳せてみたりしながら、自分たちをシンクロさせて客観視することができるとても読み応えがある本です。
内容はキーワードごとに分かれているのですが、その人の立場や心情によって気になるワードは違ってくるのでしょうね。
すべてのキーワードを読み解いた時、そのすべては一つのものにつながっている気がしました。

これを機に、高峰さんの映画作品をあらためて観た私です。本を読み終わった後も高峰さんのはかなげな笑顔を思い出し、心に花が咲いたようなあたたかい気持ちが続いています。


メディカルコンシェルジュ 清水

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