昨日、池上彰さんが地震特番を全国ネットで放映していました。TVの影響力は絶大で地震対策の事を掲載している私のホームページへのアクセス数も通常の倍以上に跳ね上がっています。
地震災害に対して備えをしておこうと云う基本的なメッセージには無条件に賛成なのですが、報道の仕方に何とも言えないもどかしさを感じます。丁度靴を履いたまま足の裏を掻く感じです。
製作スタッフの中に建築の専門家がいなかったのでしょう。聞き取り取材を中心に話題性ばかりを強調したために、地震エンタテーメントになっています。地震報道が娯楽番組になっているのです。
建物の地震対策についても玉石混淆でした。耐震・制震・免震・減震・断震等々色々な言葉が出ていましたが、法律用語として規定されているのは耐震と免震だけです。用語として規定されていると云う事は、その用語に対して規制もしっかりと存在し、中途半端なアイデアだけで実用化することは出来ません。
用語が提議されていない工法は、野放し状態で好き勝手に自社の製品の地震性能を謳っているにすぎません。
地震が発生しても家が揺れないという事は、揺れている地面に立つ人から見れば建物がグラグラ揺れている事にほかなりません。揺れている建物と塀との間に人が挟まって死亡事故が起これば、誰が責任を追求されるのでしょうか。
昨日の番組の言い方で、揺れない家として国交省が認めているのは「免震」のみです。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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