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【トーマツも節税?】 保険は簿外のダムなのか
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こんにちは、東京港区の公認会計士 森 滋昭です。
監査法人トーマツは、この7月に440人の大リストラをしたので話題となりましたが、インターネットで、こんな記事を見たので、ふとトーマツの決算書(平成22年9月30日)を見てみました。
なお、トーマツは9月決算なので、これは昨年9月の決算書です。
決算書からは、売上の分析など、いろいろ着眼点はあると思います。
ところで、私が、ふと気になったのは、保険解約金です。
平成22年9月決算で、税引前当期純利益で1,885百万円となっていますが、実は、保険解約益で2,336百万円の特別利益を計上しています。
貸借対照表上の、保険積立金も 前年の4,451百万円から、2,349百万円へ、▲2,102百万円ほど残高が減少しています。
なお毎年の保険料も、責任保険料として663百万円も支払っています。
さて、保険にもいろいろな種類がありますが、長期平準定期保険や、逓増定期保険などは、貯蓄性の保険と呼ばれています。
これらの会計処理は、保険料支払時が、
・掛け金の1/2は損金となり、
・残りの1/2を資産計上
することになります。
保険金受取時には、
受取保険金 ▲ 資産の取り崩し ⇒ 差額
が、益金となります。
(マイナスの場合は、損金となります)
このため、赤字の時であれば、保険金を解約して益金と相殺することで税金を発生させずに、キャッシュを得ることができます。
赤字の時以外では、役員の退職時によく使われます。
これは、最近の会計では数少なくなった一種の簿外資産ですね。
保険会社の人に言わせると、保険を掛けることで“会社の外にダム”を造っておくことになり、なにかあれば解約して水をだすそうです。
実際、東日本大震災後の急速な売上減少を、保険金でしのいだ企業も多かったと聞きます。
監査法人トーマツも、こうした保険商品を節税に使っていたのでしょうか?
ただ、保険を節税に使うのは、それほど珍しいことではありませんが、ここまで多額の保険料をかけているのは珍しいのではないでしょうか。
さすが会計のプロ中のプロである監査法人ですね。
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