大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「カナダ大学留学- 留学生の2/5がカナダを選ぶ現状のポジとネガ」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
カナダにいらっしゃい!

大澤 眞知子

オオサワ マチコ
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カナダ大学留学- 留学生の2/5がカナダを選ぶ現状のポジとネガ

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留学 大学・高校正規留学 2022-04-10 04:31

大学留学の第一希望としてカナダを選ぶ留学生が5人に2人の割合だそうです。(Vancouver Sunより)

カナダは大学留学の目的地として第2位以下(イギリス、アメリカ、オーストラリア)を遥かに引き離しての一番人気。


私自身、30年に渡り優秀な日本の頭脳を訓練しカナダの大学学位取得に送り出している経験から、カナダの1位は納得ですが、裏を調べてみると複雑な事情が浮かび上がって来ます。


カナダを大学留学の目的地として選ぶ理由が、日本からの留学生と他国からの留学生とでは大きく異なっていること。

そのため、カナダ政府が提供している大学正式留学生への図らいが、必ずしも利点とはなっていないこと。

などをじっくり考慮する必要が出てきます。

注意点をまとめてみました。

  

1.カナダに大学留学する世界からの学生が、カナダを選んでいる最大の理由は「大学留学中に働くことが可能」というプラス点です。


「途上国からカナダに留学、学位を取り良い仕事につき、自国よりより良い生活を送る」ことが大多数の留学生の目的ですので、学費・生活費の足しとなる就労可という条件は非常に好ましいものです。

必死で働きながら(正に二宮金次郎!)勉学にも精を出すという図式が浮かび上がって来ます。


日本人留学生は?

アルバイトが出来ることは確かに魅力でしょうが、過去の事例を見る限り、英語教育が極端に遅れている日本からの大学留学生はまず大学の勉強についていくのに精一杯。

日本の高校の英語レベルなどではとても間に合いませんから。

毎日24時間でも足りないくらいの勉強が必須となります。


そこにアルバイトを入れようものなら、学業に大きく影響し、アルバイトに力を入れすぎた結果大学を途中で挫折し、学位まで届かなかった日本人留学生の数も多いです。


つまり、「就学中にアルバイトが可能なカナダ」は日本人には大きなプラスはないと見ています。



2.カナダ大学の学費が他国よりはreasonableであることが理由。


ただし、これはカナダ市民・永住者の税金による恩恵であることに注意。

従って、カナダ市民・永住者がいい加減・中途半端な留学生を見る目は非常に厳しいものであることを知っておくこと、です。


それでもカナダの留学生用大学学費は現地カナダ大学生の3倍〜5倍というバカ高いものですが、文句は言えないということでしょうね。

その学費に納得した上で留学してくるわけですから。


カナダに大学留学する日本人のみなさんは、とにかく勉強に励み、良い成績をあげ、必ず学位にたどりつく能力と強い意志を持っていること。

また、カナダの税金にも助けられているということを忘れず、社会の決まりを遵守すること。

これがとても大切になります。


日本の大学生、また日本の大学から交換留学とやらで半分遊びでやって来る学生のように(評判悪いですよ)お遊び気分では絶対大学留学しないこと。



3.カナダ大学留学生の60%が永住権を目的としてやって来る。


この60%のうちの半分以上はインドと中国からの留学生だそうです。

ほら、日本からの留学生とは一線を画しますね。


日本の高校生が「カナダに大学留学したい」という理由の上位が「永住権」というのは今まで耳にすることがありません。

理由の大半が「英語を使った仕事がしたい」などの、旧態依然とした甘いもので、世界の流れからはるかに遠いものとなっています。

他国の留学生は「英語で学位を取り、永住し、良い人生を歩みたい。」ですが、日本人留学生は未だに「英語が出来ると日本で就職に有利」などの、狭い内向きな理由です。


ハングリー精神旺盛な他国からの留学生からは大きく見劣りすることがおわかりですか。 


4.パンデミック中、外国人留学生に政府が金銭的援助(CERB)をしたのはカナダのみ。


現Justin Trudeau政権が掲げる留学生政策の一環です。

CERBの資金は、もちろん、カナダで税金を払う人たちのお金でまかっていますが、外国人でありカナダに税金を収めていない留学生にも援助をするという、他国と比べてもかなり異質な対応をしました。

パンデミック中の就労時間制限(留学生への)も取り除き、留学生がカナダにとどまりやすい措置を講じました。

パンデミック中に国境を閉ざした他国と比べ、カナダは正式留学生へ国境を開くのが早かったです。


さて、日本人留学生でCERBを申請した人は何人いたでしょうね。

高い学費を見越し、留学する日本人はおそらく実家からの援助でほとんどをまかなっていると考えています。

カナダ政府からのCERBをもらい、アルバイト時間を増やしてまでパンデミックを乗り切った日本人学生は多くはないと見ています。


ということで、Trudeau政権がターゲットとする留学生への数々のヘルプは、日本人学生にはほぼ無縁なことかも知れません。

ただ単に「カナダは自然がきれいで、アメリカより安全だから」という理由の日本人大学留学生を、カナダ政府が単に「お客さん」としかみなしていない理由がここにあります。



5.(要注意)カナダ政府の寛大な留学生政策による大きなマイナス:大学の留学生比率が非常に高い。


カナダの大学生の20%以上が留学生、またこの数字は毎年上がり続けています。

オーストラリア、イギリスを比べても高い数字であり、アメリカが7%、EUが6%という実態を見ても、異常に高いことがわかります。


つまり、折角カナダの大学に来ても、留学生の顔がどどっと存在する環境に入ることとなります。

日本からカナダに来るみなさん「カナダの大学でカナダの友達作って。。。」などと甘い考えでやって来るみなさん、こんな実態を知っていましたか?



6.大学学位取得者はPost Graduate Work Permitを申請すると3年間(期間は大学の内容による異なる)の就労機会が与えられる。


ここでもTrudeau政権は、かなり制限を緩やかにして、留学生個々の事情を考慮する政策を取っています。


将来への大きなチャンスとなるPost Graduate Work Permitに見向きもせず、卒業後すぐに日本に帰国する大学留学生が多いことにも不思議を感じています。

要するに日本での就職を有利にするための大学留学をする日本人が多いことがこの事実に反映されています。

3年間もカナダで就労すると、日本の就活に間に合わない!ですか?


じゃぁ、最初から日本の大学に行けば?と言いたくなってしまいます。

あなたはカナダが歓迎する留学生ではないですよ、と。



7.カナダの多くの州は(例えばBC)留学生にも医療を無料で提供している。


特にカナダ全体の大学留学生のうち20%を抱えるBC州では、バンクーバー周辺で留学生活を送る留学生への支援を拡充する予定。

高騰する賃貸料、賃貸の不足などに苦しむ留学生へのケアに苦慮中。


またしても、比較的経済的に余裕のある家庭からの留学生が多い日本は特異な存在です。

日本での保険を使う学生も多いと思いますし、「カナダは医療費が無料だから留学しよう」なんて理由でやって来る人はまずいないのでは?


実はカナダの医療は無料ではなく、毎年払うタックスの中に組み込まれているだけです。

つまり、留学生の無料医療費はカナダ人の払う税金であるということ。

ここから、新たな問題が起こりつつあります。



8.カナダで税金を払っている人たちの留学生を見る目に注意


ここまで読んだ後なら、必ずしも好意的なものではなさそうということは感じられると思います。

自分たちが働いた税金が、外国からやって来てカナダの税金も払わず、その恩恵だけを享受している留学生に回っている?

普通は「なんじゃそれ?!」です。


それでも、Justin Trudeau政権が留学生優遇策を推し進める理由は:

・カナダ大学にやって来る留学生は自国では相当優秀でトップクラスの人材であること

・大学学位取得語は永住者として、カナダで働き、経済にも社会にも貢献する人材であること 

この2つです。 

さて?

日本人留学生。

そうですか?


トップクラスの有名大学に来る日本人はかなり優秀、日本でもトップの人材だと思います。

が、その割合はほんの一握り。

後の日本人留学生は、果たして日本が誇るトップの学生ですか?

違いますね。

間違った思い込み「カナダの大学は簡単」「英語が出来るようになる」などで留学する日本人は、おそらく日本でも一流の大学進学は出来ない組だと感じています。


Justin Trudeauが率いるLiberal政権に対して、保守派と社会主義的左派からの風当たりが非常に強くなっている昨今、母国でもどうにもならなかったことが理由で留学する日本人留学生には、どんなショックが待っているでしょうか。

近い将来、大きな変化が予測されるカナダ大学留学事情です。


心配になりましたか?

大丈夫。

解決方法はただひとつ。


日本の高校でトップクラスの成績を取ってから、カナダの大学にはいらっしゃい。

それが大学留学出来るかどうかの最初の関門です。


カナダにいらっしゃい!

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