大澤 眞知子
オオサワ マチコグループ
高校留学したけど学校が楽しくないです
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「カナダの高校は楽しいですよ、卒業も簡単よ」とのエージェントの甘言にまんまと乗ってカナダに来たツケが直撃しているような相談に出会いました。
(質問)
カナダに高校留学をしてほぼ5ヶ月が経ちすっかり学校にも慣れました。
英語も普通に会話は成り立ちます。ただ友達というのはいません。お昼も一人です。
最近は勉強に力も入らずやる気も起きません。もう学校に行くというだけで疲れを感じてしまって、勉強に身が入りません。ここ1ヶ月は季節か考えすぎか、頭痛が酷いです。
でも日本に帰りたい訳ではないし、ホームステイ先もとても好きです。ただただ学校というものに不満を抱いています。
自分の待遇に甘えているだけなのでしょうか。
(回答)
日本からの優秀な高校生・大学生が卒業資格を取る支援をして30年近くになります。
カナダ在住です。
ご相談内容、絵に描いたように目に浮かびます。
かなりの数に昇る同じようなやりきれない経験をしている、カナダの日本人高校生を見てきた経験からご相談に答えてみたいと思います。
1.現在通われている高校は余り大きな規模ではなく、ESLに留学生を集めて授業をしているわけではない感じを持ちました
もしそれなら、ESLには英語の出来ない留学生が(日本や中国などから)集められ、ほぼ一日中そこで過ごしますからね。 特に最初の1〜2年間は。
その場合、そこの日本人留学生とほぼ間違いなくつるむのが日本人の癖です。
というより、ESLの日本人村に属していないと仲間はずれにされるからです。
ESL内の同国人の間のイジメは相当えげつないと聞きました。
「友達」がいないということで、大きなESLのある学校ではないと類推しました。
2.大都市ではなく、田舎の小規模高校に送られたケースでは?
私立高校などから1年の期間でやって来て、帰国後はそのまま同級生と進級出来る留学制度で来てるのでしょうか。
留学先では、特に難しいコースは取る必要もなく、とりあえず在籍しておれば、「在籍していました証明」を持って帰ることになっている日本の高校生が田舎の高校に集中しています。
英語の準備も、クリティカル・シンキングを理解出来ないので、もちろんカナダの大学進学希望者が取るコースに参加は出来ません。
従って、カナダの良質の高校生と交わる機会などありませんし、優秀なカナダの高校生たちは、勉強に、学外活動に、アルバイトに忙しい毎日を送っています。
じゃ、中以下のレベルのカナダ人高校生と交わる機会があるかというと、これも無理ですね。
田舎の高校では、小学・中学と一緒に育って来た子どもたちが、すでにグループを作ってつるんでいます。
親同士も知り合い、かなり深い結び付きがあります。
その中に、英語の出来ない、社会性のない(日本人高校生のほとんどがそうです)日本人が来ても、興味など示してはくれません。
お昼ごはんも、自分たちのグループで固まったり、車でどこかに出かけたり、忙しいカナダの高校生達。
その仲間にはまず入れないですね。
3.英語で会話が成り立っているというのは、残酷なようですが、あなたの思い込みではないでしょうか。
カナダは小さな子供でも、”Why?”から始まるクリティカル・シンキングで話をします。
必ず、理由・具体例が会話の中に存在します。
高校生になると、そこにIdeaが登場します。
日本語の頭で必死に英語を話そうとしても、単に事実を名詞のみで話すパターンがほとんどですので、日本人留学生と本気で話をしてくれるカナダの高校生は非常に少ないです。
せいぜい、他の国からの留学生か、移民の子供で、まだ英語が不自由なクラスメートと、片言の会話を交わす程度がましな例です。
もし、きちんと会話が成り立ち、カナダの高校生に興味を持たれているのでしたら、お昼も誘いが来るでしょうし、ひとりぼっちでいるとは思えません。
4.カナダの学校への不満は、あらゆる場合が想定出来ますが、あなたの場合は、英語の準備・クリティカル・シンキングの準備、カナダ社会への理解度の準備不足から、周りに入っていけないことの不満だと思います。
カナダで、自分から行動しない人、能力のない人、はほうっておかれます。
受け身でいる人は「放っておいてほしいに違いない」と放っておかれます。
カナダでの残りの体験を少しでも有意義にしたいなら、今からでも「自分の能力・理解度に何が欠けているのか」の自問自答をしてみて下さい。
英語の能力不足なら、それをどう補えばいいか、クリティカル・シンキングって何?という驚きなら、それをどう学べばいいのか、カナダの歴史・経済・制度を自分で勉強し、せっかく来た国をもっと理解してみる。
これらがこの上なく大切です。
あなたと同じように迷い、目的に到達するのはとても無理だと判断した日本人高校生たちのアカデミックサポートを行っていますが、「よくこんな状態でカナダに来ましたね?」と驚愕の連続です。
しかし、「一体自分はどうすれば前に行けるのか」の理由を知ったとたん、目の色が蘇り、前向きな態度に変わる高校生たちを見るのももうひとつの驚きです。
自分の実力を真摯に知ること。
ここから、新たに始まります。
Good luck!
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