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対象:人事労務・組織

給与所得を事業所得に変更可能か

法人・ビジネス 人事労務・組織 2010/03/02 18:42

現在、非常勤講師(週3)として働いています。 今年から個人事業主としての同種の事業もはじめました。
双方とも同じ資格のものですし、個人で動いていますので、現在の給与所得を事業所得に変更すべく手続きというものは可能なのでしょうか? また、それを契約先にお願いした場合、却下する権利は先方にあるのでしょうか?

勉強不足でこのようなことがまだはっきりわかりません。
よろしくお願いします。

tomohisaさん ( 埼玉県 / 女性 / 43歳 )

回答:1件

小松 和弘 専門家

小松 和弘
経営コンサルタント

1 good

雇用契約から業務委託契約への変更が必要です

2019/05/27 22:46 詳細リンク

tomohisaさん、こんにちは。
給与所得から事業所得への変更に関するご相談ですね。
質問は以下の2つと理解しております。
1.契約先からの給与所得を事業所得に変更する手続きが可能かどうか
2.契約先に、給与所得から事業所得に変更したいと願い出た場合、却下する権利が契約先にあるか

質問に回答する前に、給与所得と事業所得の違いについて整理したいと思います。

まず給与所得です。
【所得税法第28条第1項】給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいう。
下記の要件を満たしている場合にはそれによって得る所得は給与所得であるとされています。
・雇用契約が存在する
・使用者の指揮命令に服する
・使用者から空間的および時間的な拘束を受ける
・職務上の費用が使用者の負担となる

次に事業所得です。
【所得税法第27条 第1項】事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。
次のような要件を満たしていなければならないと考えられています。
・自己責任で行われていること
・営利性があること
・反復継続していること
・以上について客観的にも認められること

(ご参考)国税庁HP(個人事業者と給与所得者の区分)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/01/01.htm


以上を踏まえて、tomohisaさんのご質問に以下の通り回答いたします。

1.契約先からの給与所得を事業所得に変更する手続きが可能かどうか
現在、契約先から給与所得を得ているということは、契約先と雇用契約を結んでいると思われます。
給与所得を事業所得に変更するためには、契約先との雇用契約を、上記事業所得の要件を満たすような務委託契約に変更する必要があります。

2.契約先に、給与所得から事業所得に変更したいと願い出た場合、却下する権利が契約先にあるか
契約の変更となりますので、双方の合意が必要となります。すなわち、契約先と契約内容について交渉が必要となります。
契約先に雇用契約から業務委託契約への変更をお願いした場合に、こちらの要望を受け入れてもらえるような交渉がポイントとなると思います。
以下に、契約先にとっての、雇用契約から業務委託契約に変更する場合の一般的なメリットとデメリットについて記載します。

<契約先にとってのメリット>
・社会保険料を負担しなくてよい
・福利厚生を提供しなくてよい
・雇用だと辞めさせたい時に簡単に辞めさせられないが、業務委託は簡単に打ち切れる
・5年以上契約を継続しても、無期雇用に転換しなくてよい
・賃金は消費税控除の対象ではないが、業務委託報酬は消費税控除の対象になる
・労働者保護に必要なルール(時間、割増、休日など)を守らなくてよい

<契約先にとってのデメリット>
・手が空いていたとしても、委託した業務以外をさせることができない
・業務の内容や遂行方法について、逐一指示することができない
・配置転換や業務の変更ができない

交渉にあたっては、契約先にとってのメリットを伝えるとともに、デメリットを回避できるような提案をしてみることをお勧めいたします。
例えば、tomohisaさんの手が空いていた場合に委託した業務以外もできるような条項を契約書に記載したり、tomohisaさんが遂行可能な業務をより細かく列挙する等が考えられると思います。
また、他にもtomohisaさんと同様に、非常勤講師として働いていて個人事業主としての同種の事業も行なっているような方々がいる場合、契約先との交渉をそれらの方々と共に団体で行った方が有利に進む可能性があることも考えられます。

なお、今回は給与所得から事業所得に変更したいというご質問でしたが、給与所得にも控除があることについても、ご参考までにお伝えします。
給与所得は事業所得と違い、必要経費の計上ができませんが、給与所得に関しては割合で控除が受けられることになっています。
・給与所得控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm
また、給与所得者が特定の支出をした場合、一定の金額を越える時は、確定申告によりその超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができる制度があります。
・給与所得者の特定支出控除
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1415.htm

なお、給与所得と事業所得についての計算方法は国税庁のHPに説明がありますので、ご参照ください。
・給与所得:
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1400.htm
・事業所得:
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1350.htm

それぞれの税金について詳細な確認をしたい場合には、税務署に相談することをお勧めいたします。
ご参考までに、埼玉県の税務相談の連絡先についてご案内いたします。
・税についての相談窓口(埼玉県):
https://www.nta.go.jp/about/organization/kantoshinetsu/location/saitama.htm

まとめとして、
・給与所得を事業所得に変更するためには、契約先との雇用契約を、業務委託契約に変更する必要があります。
・契約を変更するためには、取引先と契約変更の交渉が必要になります。
・給与所得と事業所得それぞれにメリットがありますので、改めてご確認いただければと思います。

回答は以上となります。

給与所得
事業所得
委託契約
社会保険料
個人事業主

回答専門家

小松 和弘
小松 和弘
(東京都 / 経営コンサルタント)
ホットネット株式会社 代表取締役
03-6685-6749
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