対象:経営コンサルティング
かなり前ですが、従業員に株を持たせたことがあり、持株数は少
ないのですが、先日株主訴訟を起こされそうになりました。
その時は何とか話し合いで事無きを得たのですが、今後、また他
の従業員からも同じようなことが起きる可能性も充分考えられま
す。
そこで、議決権のない株式にするとこのような問題を回避するこ
とができると聞きました。 できれば社長である私自身が買い取
りたいところですが、まとまった資金が必要になるため今すぐと
いうわけにはいかない状況です。
議決権のない株を持たせる手続きなど教えてください。
よろしくお願いします。
さくやんさん ( 東京都 / 男性 / 59歳 )
回答:2件
この度はご質問有難う御座います。
はじめまして。この度はご質問有難う御座います。まず前提として、貴社の組織設計(法人格・取締役会の有無・監査役の有無・会社の規模)に関する情報が限られていますので、一概にこうすれば良いと言う各論ではなく、総論となる事をご了承下さい(また法務的なことは弁護士にご確認下さい)。今回の事例の場合、株主訴訟を今後、起こされそうだから決議件の無い株式等の種類株を発行し、その課題を解消するという事で宜しいでしょうか? 種類株の株主にとって有利なものとしては、配当優先株式という普通株式よりも配当を優先して多くもらえる株式や残余財産分配優先株式という会社が解散・清算する場合、普通株式よりも残余財産を優先して受け取れる株式等があります。その他に、取得請求権付株式、拒否権付株式(黄金株)、役員選解任権付株式等の株式も存在します。その発行には条件決定・株主総会承認・登記等煩雑な業務を伴いますが、それも対策のひとつの手段かもしれません。しかしながら、ご相談の本質である、元従業員の株主が株主代表訴訟を起こすので発行するというのはどうでしょうか。そもそも、株主代表訴訟とは、株式会社において株主が会社を代表して取締役・監査役等の役員に対して法的責任を追及するために提起する訴訟のことを意味します(会社法第847条)。それは監査役又は株主が行うことができるのですが、万が一訴訟されたとしても、取締役は会社にもたらした損失金額を賠償するか否かの論点となり、間接的に企業価値が向上し株主の保有する株式の価値は向上しますが、直接的な株主へ利益を供与する等にはなりません(別途、訴訟とは関係ない株主総会のお話として少数株主権というものは存在します)。予って、ご質問頂きました方が、私利私欲の為に経営や判断をしていない前提として、訴訟されても、その時の判断等について正当性を立証する証拠やロジックを確りしていれば心配はないと考えます。
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後藤 義弘
社会保険労務士
-
ご質問ありがとうございます
*''★ 回答''
''『単元株式制度』 ((会社法188〜194条))の活用をご検討されてはいかがでしょう。''
**''■ 解説''
ご質問の中で、御社の発行株式数や株主ごとの持株数など付帯状況がうかがえないため、以下のように例をあげて 『単元株式制度』 についてご説明しましょう。
例えば、トータル10,000株を発行している会社で、社長が7,000株、息子が1,500株、残り1,500株 (1人300株) を従業員5名が保有しているものとします。 (従業員持株会でない個人所有とします。)
ここで、500株を1単元 (=1議決権) とする 『単元株式制度』 を導入すると、従業員が保有する300株 (1人) は1単元500株に足りず、''単元未満株式'' となり議決権が付与されません((同制度導入は定款変更 [株主総会特別決議] が必要となります。))。
【議決権数】
オーナー ・・・ 14 議決権 (7,000 ÷ 500)
息子 ・・・ 3 議決権 (1,500 ÷ 500)
従業員 [5名] ・・・ 0 議決権 (∵ 300 < 500)
この制度は、500株を1つのユニットとして、これを1議決権とし、これに満たない数、上の例でいくと従業員保有の株式300株分に ''議決権がない'' という仕組みです。
お話にある 「議決権のない株式」、つまり ''無議決権株式'' ですが、これはこの 『単元株式制度』 と機能的には同じなのですが、制限される権利はあくまで 「議決権」 だけであり、他に保障された基本的な株主権((会社の計算書類を閲覧・コピーする権利、株式の発行をやめさせる権利、役員の違法行為をやめさせる権利など。))は留保されたままです。
そして今回排除したい ''株主代表訴訟'' を提起する権利ですが、これも無議決権株主であっても保証される基本的な権利のひとつです。
従いまして、仮にお話のような手法で議決権を排除 (=無議決権株式を従業員に持たせる) したとしても、従業員株主は株主代表訴訟を起こすことができます。
補足
一方、この ''単元未満株式'' の場合、無議決権株式と違い、''定款'' に権利行使できない旨規定することで株主代表訴訟を起こす権利も排除することができます((会社法847条カッコ書き))。
その他、株主に本来認められている一定の権利についても、定款に定めることで制限することができます。 このあたりは、「無議決権株式」 の一種でありながら機能的に大きく異なる点です。
ただ、単元株式は、一単元となる株式の数 (1,000株) と比率 (5%) に上限が設けられている((会社法施行規則34条))ので、同族中小企業については、あくまで ''少数株主対策'' としての活用が適当かつ有効と考えられます。
> 持株数は少ないのですが …
とあることから、さくやんさんのケースが、もし上のシミュレーションに近い事案ということであれば、同制度採用検討の余地があると思われまれ、ご紹介させていただきました。
しかしながら、お話では会社と従業員株主が緊張関係にあるとのお話で、「無議決権株式」 にせよ、「単元株式」 にせよ、従業員株主の権利を制限する (不利益) 方向での変更となることから、制度導入に関しては会社として慎重な検討の必要があると思われます。
やはり、株主権の排除という個別的な視点ではなく、経営の視点から総合的に最も適切な方法で対処することをお勧めします。
このあたりの最適な対処方法につきましては、別途お問い合わせいただければと思います。
ご質問ありがとうございました。
今後ともAll About ProFileをよろしくお願いします。
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