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鉄欠乏の兆候か?栄養バランス改善を優先し運動は無理ない範囲で
頑張って減量し始めたものの、一気に体重が減った影響もあり、立ちくらみ等の体調不良を来たし、生理が止まる事などへの健康不安を抱えているご様子で、お見舞い申し上げます。
5キロとは、元の体重(64キロ弱)の約8%に相当します。体重の8%を半月余りで減らす、というのは減量のペースから考えても、少々速すぎます。それで体調が維持できていれば良いのですが、立ちくらみ等の体調不良が現実に生じているようですので、明らかにハイペースといえます。さらにこれだけハイペースの減量ですと、生体防御の意味合いから、生理が止まってしまう可能性が高くなります。
立ちくらみという症状は一見して、鉄欠乏や貧血、或いは低血圧などの存在を示唆します。毎月の生理が来る女性にとって、鉄欠乏はたいへん高頻度に認められる栄養障害となっています。たとえ健診などで貧血を指摘されていない場合でも、潜在的な鉄欠乏を抱えている方は少なくありません。明らかな貧血が存在する場合は、90%以上の確率で鉄欠乏の所見を認めます。また低血圧も20台の女性ではよく見受けられます。
1日1100キロカロリーという食事量は、身長から計算した標準体重からすると、かなり大幅な制限といえます。特にウォーキングや筋トレなどの運動に取り組んでいることを考えれば、最低でも1400キロカロリーは欲しい所です。カロリー制限が緩ければ減量効果も乏しくなると思うかもしれませんが、焦りは禁物です。「急がば回れ」の感覚で、じっくり取り組むことが肝要です。
大幅にカロリーを減らしてしまうと、その分だけ「代謝」が低下してしまいます。言い換えると、節約型の代謝レベルとなってしまうのです。節約型の代謝は飢餓に見舞われた場合にたいへん威力を発揮し、生存にとって有利な適応ではありますが、現代のような飽食の時代には一転して不利な条件となります。つまり皮肉なことにカロリー不足によって、痩せにくい体質となってしまうのです。
食事の摂取量を大幅に減らした場合には、もう一つ問題が生じます。ビタミンやミネラルなど微量栄養素、或いはタンパク質の不足に繋がりやすいのです。単純に食事量やカロリーを減らす、つまり肉や魚、野菜、ご飯などの料理を均等に減らした場合、糖質や脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルなど各栄養素の摂取量も軒並み減ってしまうのは、少し考えてみれば当然のことです。
例えばビタミンB群が不足すると、うつ症状や不眠、口内炎などの体調不良に見舞われやすいほか、糖質代謝が阻害されて太りやすい体質となります。また鉄分が不足すると上述のように、倦怠感や息切れ、立ちくらみ等の貧血症状を招き易くなります。亜鉛が不足すると肌荒れや情緒不安定、味覚障害の他、血糖値が上がりやすくなります。一方でタンパク質が不足すると傷が治りにくくなり、疲れやすくなります。
このように食事量を極端に減らした場合には、カロリー不足から代謝の低下を、ビタミン、ミネラル、タンパク質などの不足から各種の体調不良を招き易くなり、健康面での不安が大きくなるばかりでなく、スムーズな減量にも支障を来たしてしまいます。それでは健康状態を維持しつつ、スムーズかつ無理のない減量を達成するためには、どのような工夫をすれば良いのでしょうか。
それには逆説的な表現ですが「しっかり食べる」ことが最も大切です。しっかり食べてしまうと痩せられないのではないか、と心配するかも知れませんが、一定のルールさえ守れば大丈夫です。ここで問題は「何をしっかり食べるか」です。いくら食べたほうが良いといっても、適切でないものをたくさん食べたのでは、肥満の原因や、更なる体調不良の原因を自ら作り出してしまいます。
栄養素で特にしっかりと摂取を心がけた方が良いのは、タンパク質や各種ビタミン・ミネラル、それに良質な脂質です。3大栄養素の一つに糖質もあり、もちろん重要な栄養素の一つではあるのですが、様々な要素を総合的に考えると、糖質はむしろ抑え目にした方が良いのです。何故ならば、我々現代人の多くが「糖質過剰」の状態に陥っており、それによる様々な弊害が現実に存在するからです。
実際の食生活では、野菜やキノコ類、海藻類、豆類などをしっかり摂取し、肉や魚などを適度に食べることが望まれます。一言でいうと、いわゆる「おかず」をたっぷりと食べることがとても重要です。その一方で、白いご飯やパン、めん類などの炭水化物、すなわち「主食」を少な目にし、甘いお菓子や炭酸飲料、インスタント食品などを極力控えることが大切です。またご飯は玄米や雑穀入りご飯がお勧めです。
そして食べる「順番」も重要です。ご飯やパンなど糖質の多い食品を食事の始めにドカッと食べてしまうと、血糖値が急上昇してしまいます。そこで野菜など食物線維の多い食材を食べた後、肉などのタンパク源を摂取し、最後にご飯など炭水化物を食べれば、血糖値の上昇は最小限に抑えられます。いわば「懐石料理」のような順番で食べる、ということになります。そして「ゆっくりと」食べることが何より大切です。
さらに「間食」の活用も疎かにできません。上述のようにお菓子は控えた方がよいのですが、もっと上質な間食を取り入れたいものです。うまく間食を入れれば3回の食事の量を加減できるため、より血糖値の変動を抑制できます。つまり食事を「こまめに」摂取する、ということに繋がります。間食としては例えば、枝豆やチーズ、ゆで卵、ビーフジャーキーなどタンパク質の豊富な食品がお勧めです。
さてそのような食事の工夫をしながら、運動にはどのように取り組むのが良いのでしょうか。お話にある「筋トレ40分+ウォーキング30分」というのは、栄養バランスが整い、なおかつ体調も安定していれば、概ね丁度よい運動量とペース配分であろうかと思います。一方で体重が急に減り、立ちくらみなど体調不良が目立つ状況では、一時的にせよ運動量は軽減した方が無難です。
体調が不安定なうちは、ストレッチなど軽い運動を中心とし、体調と相談しながら軽めのウォーキングや筋トレを無理ない範囲で行なうと良いでしょう。栄養バランスが整い、体調が回復に向かえば、徐々に運動負荷を増やすことは可能です。ただその過程でも、立ちくらみなどの症状が運動により誘発される場合には、運動量を一たん軽減させることも時には必要です。
以上を総合すると、体重を減らすことは一たん脇に置いて、食事の工夫によって体調および栄養バランスを整えることを優先し、運動は体調に合わせて無理ない範囲に留める、ということに要約されます。このような取り組みにより体調が明らかに改善した暁には、たとえその時点で体重が思った通りに減っていないとしても、悲しむ必要はありません。体調と栄養バランスが維持されていれば、痩せやすい条件が整うためです。
なお詳しくは、私の他のQ&Aやコラム、それに私のホームページ(2本あります)のブログに多数掲載してあります。是非ご参考になさって下さい。
蒲田よしのクリニック(内科)
吉野 真人
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回答専門家

- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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病気を治したり予防するにあたり、いちばん大切なのは、ご本人の自然治癒力です。メンタルヘルスを軸に、食生活の改善、体温の維持・細胞活性化などのアプローチを複合的に組み合わせて自然治癒力を向上させ、心と身体の両方の健康状態を回復へと導きます。
運動量と摂取カロリー
運動量と摂取カロリー、また脂質とタンパク質の不足はめまいや立ちくらみに繋がることが多くなります。運動自体で消費カロリーを使うよりも、消費カロリーの70%を占める基礎代謝を増やす等が長い目で見て無理のない方法と言えるでしょう。
主にスクワット、デッドリフト、ベンチプレスに絞り行い、食事では体重1キロにつき1.5gのタンパク質、摂取カロリーの20%は脂肪から摂る等が良いでしょう。
回答専門家

- 佐久間 健一
- (東京都 / ボディメイクトレーナー)
- ボディメイクスタジオCharmBody 代表
モデルボディメイク
2016ミスユニバースジャパン日本代表公式コーチ2016ミスユニバースジャパン日本大会BC講師。元ミスワールド日本代表ボディメイクトレーナー2016ミスインターナショナル世界大会公式パートナー
(現在のポイント:-pt)
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