20年前に亡くなった父親名義の家屋と土地があります。法定相続人は妻である母親と姉と私の3人です。
私たち姉妹は父親が亡くなった直後に母親が名義変更しているものと思っていましたが、それがされていないことが数年前にわかりました(固定資産税は母親あてに請求が来て、母親がずっと払ってきています)。
ただ、母親もその時点ですでに80歳を過ぎていたことから、私たち姉妹もその時点であえて母親に名義変更させることはしませんでした。
また、家屋はすでに15年ほど前から無人状態で、建物の傷みがひどくなったこともあって、このほど取り壊しをしました。
法務局に滅失届を出さなければならないことを知りましたが、未だに故人の名義になっていることで、何か問題が出てきますでしょうか。所有者3名の書類をそろえることで特に問題はないでしょうか。
あるいは、この機会に母親の名義に変える、あるいは姉妹の共有にするなどの相続手続きをすることは何かメリットがあるでしょうか(土地は当分そのまま残す予定でいます。新築や貸す予定などは当面ありません)。
また、相続人3名の現在の住まいとその家屋・土地は数百キロ離れた場所にあります。
w.morrisさん ( 東京都 / 女性 / 54歳 )
回答:1件
芦川 京之助
司法書士
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被相続人名義の建物滅失登記の方法
司法書士の芦川京之助でございます。
土地はお父様名義のままにされる予定ということですので、すでに取り壊された建物について、その登記の方法をご説明いたします。
まず、建物を取り壊した場合の一般的な説明をいたします。
建物を取り壊した場合、法務局に建物滅失登記を申請します。
罰則規定はありませんが、建物を取り壊した場合、法律上、その時から1か月以内に登記を申請することになっております。
もっとも、1か月を経過しても登記することはできます。この場合、法務局から1か月を経過していることについて、何のおとがめもありませんので、ご安心ください。
次に、お父様名義の建物を取り壊された場合の登記手続きについて、ご説明いたします。
すでに建物を取り壊されておりますので、あえて、お父様名義を相続人名義に変更する登記をする必要はありません。
お父様名義のまま、建物滅失登記を申請します。
この場合、相続人お一人からの申請となりますが、登記の申請を土地家屋調査士という国家資格登録者に依頼することもできます。依頼する場合の費用の目安は、3万円から6万円です。(報酬の自由化)
必要な書類は、次のとおりです。
1 取り壊し業者の建物取り壊し証明書
この証明書の様式は、通常、取り壊し業者が知っております。
2 取り壊し業者の印鑑証明書
3 取り壊し業者が会社の場合は、会社の登記事項証明書
4 お父様の除籍謄本
5 お父様の住民票の除票など
お父様は20年前にお亡くなりになっておりますので、取得することはできないと思います。
6 法定相続人のうち、お一人の戸籍謄本と住民票(すべて記載のあるもの)
建物滅失登記の場合、法定相続人のうちのお一人から登記申請することができます。
7 その他必要書類を要すると思いますので、登記の申請を「建物が存在する場所の土地家屋調査士」に依頼されることをお勧めいたします。
土地家屋調査士は、取り壊された建物の確認をします。
補足
建物を取り壊したにもかかわらず、建物滅失登記をしない場合のデメリットは次のとおりです。
建物を滅失登記をしない場合、東京都の場合、23区では都税事務所に、その他の市町村では、市町村役場・固定資産税課に建物を取り壊したことを届け出ます。
次年度において、固定資産税がかかることを回避するためです。
建物を取り壊したにもかかわらず、建物滅失登記をしない場合、その建物の登記記録は永久に、登記上存在することになります。
例えば、土地を売却した場合、購入者(や金融機関)は、その土地のうえに登記上、建物が存在していると通常、考えます。実は、取り壊しているので、現在、存在しません、と、一々、そのつど、説明しなければならなくなります。土地が転々と売買される度に、この問題が出てきます。
ですので、建物を取り壊した場合は、建物滅失登記をする必要があります。
以上、お役に立てれば幸いです。
横浜リーガルハート司法書士事務所ホームページ
司法書士情報館 http://legal-heart.com/main/
相続登記情報館 http://legal-heart.com/
不動産売買登記情報館 http://touki-baibai.com/
不動産贈与登記情報館 http://touki-baibai.com/zoyo/
抵当権抹消登記情報館 http://legal-heart.com/masho/
評価・お礼
w.morrisさん
2012/10/29 23:44わかりやすい説明をありがとうございました。
ただ、7のその他必要書類というのが具体的に何かわかるとありがたいのですが(個別に何か必要になるかもしれないという意味だとは思いますが)。また、土地家屋調査士に依頼するメリットがよくわかりません。取り壊した家屋の確認といってもすでに無くなったものの何を確認するのでしょうか。
いずれにしても法務局に問い合わせてみます。いきなり問い合わせてもこちらの予備知識がまったくないととても大変なので、あらかじめこのサイトを利用させていただいてよかったと思います。
(現在のポイント:-pt)
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