これまで減価償却については、税法の法定耐用年数に基づき
毎年決算において実施処理してきました。
今後、経営環境も不透明であることも踏まえ、
また、固定資産の割合も大きいとは思われないことから、
企業会計上は、備忘価格1円まで有税による減価償却を
実施したいと思います。
減価償却については、税務会計と企業会計の側面があるようであり、
また、話には聞くものの具体的な事例があまり明確でないことから、
有税償却を実施してよいのか否かが、不明です。
減価償却の有税償却について、問題はあるのでしょうか?
補足
2012/04/25 12:01平税理士より、
「……企業会計上は有税償却されることが経営判断上あるべき姿だと思います。」
と回答をいただきましたが、
一方で、
「しかし、税務上は不利になりますので、ご判断頂きたいと思います。」
とのコメントもありました。
後者については、想定外の内容でありました。
私の考えでは、有税償却は、「当期」損金不算入、「翌期」損金認容により
税務上、長期的に不利にならないと考えているからです。
現時点でこのコメントについて、私が理解・納得出来ているものではありません。
xkxft011さん ( 滋賀県 / 男性 / 46歳 )
回答:1件
平 仁
税理士
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減価償却費の損金性
xkxft011さん、はじめまして。
ABC税理士法人の代表税理士を務めております平と申します。
さて、ご質問の件でございますが、
企業会計上は減価償却費を割増償却等を使って、
固定資産価格が備忘価格1円にまで落とした場合でも、
税務会計上は、従来通りのやり方で
引き続き減価償却費を損金計上できないだろうか、ということでしょうか?
もしこの認識でよろしいとすれば、回答は「できません」の一言です。
税務会計と企業会計は、その目的が異なりますので、
その処理を別々にすることが認められているものもございます。
しかし、全てを別々にしてしまいますと、投資家や銀行等に示す財務諸表と、
税務申告上の財務諸表が全く異なるものになりかねませんので、
法人税法においては、確定決算主義の条項を置き、
商法上確定した決算から税務申告書を作成することを求めています。
つまり、企業会計上で費用計上したものが、税務会計上の損金になる、
というのが原則で(これを損金経理といいます)、
税務申告書上のみで異なる処理をすることが許されているものだけが
別異に処理される(これを別表調整といいます)ということになるのです。
減価償却費は損金経理要件が課されておりますので、
企業会計上で割増償却等を使って処理をした場合には、
税務会計上は費用計上された減価償却費のうち、
損金計上限度額までしか損金計上できず、
超えた部分は損金にならないので、有税償却というわけです。
税務会計は公平性が重視されるため、個々の事業者の事情は考慮されず、
全国一律に損金計上額を規定することになりますが、
企業会計上は、適時性や適正性が重視されますので、
個々の事業者の事情を考慮するべきなのです。
ですから、企業会計上は有税償却されることが経営判断上あるべき姿だと思います。
しかし、税務上は不利になりますので、ご判断頂きたいと思います。
私からはこのような回答になります。
ご質問の趣旨が違っていたり、再質問がありましたら、
またご質問頂ければと思います。
よろしくお願い申し上げます。
ABC税理士法人
代表税理士 平 仁
(現在のポイント:-pt)
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