critical thinking について学びたい

今日は、大澤眞知子です。

Critical Thinking とは、物事を科学的、客観的にあらゆる角度から考え、感情的または単なるエピソードなどに影響を受けず、科学的根拠・証拠から、限りなく近い答えに近づいて行く思考法です。 しかも、たどりついた答えに安住することなく、常に"Why?"を考え続け、新しい科学的根拠が登場したあと、また考え始めるループも指します。

英語圏や西欧の主な国での教育のゴールはこのCritical Thinkingの出来る頭脳を育てることです。 小・中・高校の学習内容はこの目的のために作られます。 （丸暗記に明け暮れている日本の教育ゴールとはまったく異なりますね。）

Critical Thinkingを基に、自分の意見を論理的に組み立て、"Why?"についてはScientific Method に基づいた方法で自分でリサーチ出来ること。 ここまで出来ると初めて大学教育の準備が出来ていることみなされます。

従って、単に本を数冊読めばこのCritical Thinking がわかるという簡単なものではありません。
また、大学では、学生はこの考えが出来ることを前提に授業を進めますので、特にCritical Thinking を学ぶコースは普通はありません。

ただし、もう一度Critical Thinking を確かめたい学生のために、Philosophy の１００レベル（基本）のコースでCritical Thinking の復習をするコースもあります。
現在Athabasca University や British Columbia 大学のphilosophy のコースがCritical Thinking を扱っているようです。

また、Introductory Psychologyのコースなどでは（同じく１００レベル）、まず最初のChapter に入る前に，Critical Thinking のステップを踏むことはこの上なく大切だという説明が付いていることがあります。 これを無視したエッセイなどは、「そこまでボロボロにいわなくても・・・」というくらい批判されます。

参考までにそのCritical thinking の大まかなStepをご紹介しておきます。 残念ながら、詳細は膨大な量になりますから書けませんが：

1. Ask questions.
2. Define your terms.
3. Examine the evidence.
4. Analyze assumptions and biases.
5. Avoid emotional reasoning.
6. Don't oversimplify.
7. Consider other interpretations.
8. Tolerate uncertainty.

binocheさま

はじめまして。
すでに大澤先生から的確な回答が出ていますので、ぜひご参考になさってください。一言だけ補足させていただきたいのは、「…について学びたい」という姿勢ではcritical thinkingというものを知ることはできないだろう、ということです。

私は学生および講師としてアメリカの教育機関に在籍しているため、critical thinkingは日常的に意識せざるを得ない環境におります。先行研究や文献・資料、著名な学者からクラスメートにいたるまで、その考えを吟味し、批評しあうことを通じて自分の考えを深めていきます。こうしてcritical thinkingが身についていきます。

しかし、私自身の経験を振り返っても、他の学生や教員のことを考えてみても、「critical thinkingについて学びたい」という姿勢の人はいないと思います。仮に"critical thinkingとは"というような本があって、それを読んだとしても、結局わかったようなわからないようなことになるだけでしょう。

自転車の乗り方をいくらうまく説明されても、たとえその説明を理解したとしても、自転車に乗れなければ意味がありません。せっかくcritical thinkingにご興味を持たれたのであれば、「critical thinkingを身につけたい」という姿勢に切り替えて、貪欲に前進なさってください。世界の見え方が変わり、binocheさんのご希望どおり、ご自分の人生に役立つ何かがきっと見つかりますよ。