対象:借金・債務整理
鮫川 誠司
司法書士
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賃貸借契約と保証人の責任--平成16年民法改正を踏まえて
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賃貸借契約上の債務について保証人がどこまで責任を負わなければならないか,
また,保証人を辞めること(保証契約の解除)ができるかについて,下記の通り回答申し上げます。
(1)賃貸借契約が締結されたのが,平成16年4月1日以後の場合
改正民法446条2項により,「保証契約は書面でしなければ効力を効力を生じない」とされました。
したがって,賃貸者契約が法定更新または自動更新特約により更新されている場合,
一般的には,あらためて,賃貸借契約書(兼保証契約書)を徴求していないはずですから,
少なくとも更新後の賃料債務については,保証契約が無効(保証契約は自動更新されません)ので,保証する義務はありません。
(2)賃貸借契約が締結されたのが,平成16年4月1日よりも前の場合
期間の定めのある建物の賃貸借において,賃借人のために保証人が賃貸人との間で保証契約を締結した場合には,
「保証人は,賃貸人において保証債務の履行を請求することが信義則に反すると認められる場合を除き,更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを免れない」(最高裁判決平成9年11月13日)とされています。
しかし、事例によっては、一定の要件の下に,保証人が将来に向けて保証契約を解除することを認められることもあります(大審院判決昭和8年4月6日)。
特に,今回のご質問のケースのように,保証後に賃借人の資産状態が著しく悪化しており,それ以上保証を継続すると,将来,保証人が賃借人に対する求償権を実現することが難しくなるおそれがある場合には,
賃貸人側の事情(滞納の生ずるごとに保証人に請求しなかった,契約の解除・明渡請求をしていない,等)如何によっては,
上記大審院判例の要件に該当し,保証人を辞任すること(保証契約の解除)が認められるこもありえると考えます。
また,下級審レベルでは,保証契約の解除までは認めないながらも,
賃貸人側の過失で損害が拡大した部分については,保証人に支払いの義務はないとして,
保証人の責任を限定的にしか認めなかった事例もあります(東京地裁判決昭和51年7月16日)。
以上,hono-yonさまのお役に立ちましたら,幸いです。
今後とも,どうぞ宜しくお願い申し上げます。
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評価・お礼
hono-yon さん
詳しく説明していただきありがとうございました。私は家族を守るため、叔父と話し合い早急に解決したいと思います。
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叔父が借りているアパートの保証人になっています。その叔父が先日リストラにあい家賃、光熱費などを滞納していると不動産会社から連絡がありました。1年ほど前に叔父の借金が原因で絶縁状態になっていた… [続きを読む]
hono-yonさん (長崎県/33歳/女性)
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