過眠症

20歳頃から昼間の眠気にお困りとのこと、お見舞い申し上げます。昼間の眠気、過眠症を呈する疾患はいくつか考えられます。

最も代表的な疾患は''「ナルコレプシー」''と呼ばれる強い睡眠発作を特徴とする疾患です。これは''オレキシン''という視床下部から分泌される神経伝達物質の不足によるとされています。

診断は脳脊髄液中のオレキシンを測定することもありますが、一般的には''睡眠覚醒パターン''と''昼夜の睡眠時脳波''を観察します。また血液検査により''HLA(Human Leukocyte Antigen、ヒト白血球抗原)''の遺伝子を検査する方法もあります。

治療は''メチルフェニデートやベモリン、モダフィニル''といった薬物が用いられます。昨年、メチルフェニデート(商品名リタリン)の乱用が大問題になり、厳重に流通管理されています。

一方、交通事故などでよく話題になる過眠症が''「睡眠時無呼吸症候群」''です。睡眠中に呼吸が停止するため熟睡できず、翌日に眠気が強く生じます。脳の呼吸中枢に原因のある''中枢型''と、気道が狭窄する''閉塞型''とに分かれます。後者が多く、肥満体で首が太く短い方に夜間に大きなイビキと頻繁な呼吸の停止がよく認められます。

診断には睡眠中の脳波、筋電図による''睡眠パターン''、口鼻・胸部の動きによる''呼吸パターン''、パルスオキシメーターによる''経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)''の検査を行います。治療は中枢型ならば原疾患の治療、閉塞型ならば''持続陽圧呼吸療法 CPAP(continuous positive airway pressure)''と呼ばれる人工呼吸装置を睡眠中に装着します。

他にも反復性・特発性過眠症などありますが、いずれにしても''睡眠障害を専門''に診療している精神科や呼吸器内科などを受診されることをお勧め致します。どうぞお大事にして下さい。

茅野　分(銀座泰明クリニック)