対象:住宅設計・構造
設計契約の解除
アネシスプランニングの寺岡と申します。宜しくお願いします。
さて、ご質問の件ですが、設計士との間で設計契約を結んでいるかと思いますが、その約款に契約解除に関する内容が記載させていれば、その文言に従う必要があります。
本来、設計者は依頼人の希望をかなえるべきもので、設計だけ満足させても予算をクリアーさせないと、単に絵に描いた餅になってしまいます。
特に、コスト意識が希薄な方は、往々にして依頼者の予算をオーバーする傾向があります。
設計士は建築家とも称されますので、いわゆる芸術家の範疇と同じ意識になると、こうしたケースをしばしば見かけます。
そういった場合には、今回のように希望予算を大幅に上回る費用が出てしまいます。
依頼者が予算アップについて行ければいいのですが、そう簡単には行かないとなれば規模縮小や仕様ダウンという満足がいかない結果になります。
で、解約となれば、通常はそれまでに要した費用を請求されることにはなります。
その内容は今までの成果物や労力を計算してくるもので、着手金を上回る場合もあります。
しかしながら、請求金額に対して、その額に見合う成果物や打合せ内容があるかどうかの判断はしなくてはなりません。
例えば、設計契約の解約の申し出をした際に、着手金の300万円の請求を言われた方がおりましたが、度重なる予算オーバーの提案や法規を無視した提案など、依頼者の不利益が多く見られ、結果的には全額返金してもらったケースもあります。
ですから、今回の事案の場合も費用請求されるかは、具体的なプレゼンや経緯などを見てみないと何とも言えません。
また、判例でも「予定工事額を大幅に超過した設計は債務不履行」とされた場合があります。
裁判所は「設計業務は委託者の工事予定額を遵守した基本設計及び実施設計をすべき義務がある」としており、「設計者が労力と費用を費やしたとしても、その対価を請求できない」と判断しています。
これは、設計者には予算も把握しての設計を行うべきという内容であり、万一、予算が超過する場合には設計者の説明責任があることを意味しています。
こうした点を踏まえて、解約手順としては口頭もしくは書面での通知をして話合いをすることになろうかと思われます。
場合によっては、内容証明などを利用しての手続きになるでしょう。
以上、ご参考になれば幸いです。
尚、個別のご相談や詳しい説明をご希望でしたら、お気軽にお問い合わせ下さい。
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回答専門家
- 寺岡 孝
- ( 東京都 / 建築プロデューサー )
- アネシスプランニング株式会社 代表取締役
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