対象:ペットの医療・健康
高齢犬の去勢手術に関し
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はじめましてアレス動物医療センターの沖田と申します。
さて、実際そちらのワンちゃんを診察したわけではないので、あくまで文面からの想像で書かせていただきます。
獣医師によって、意見も分かれることもあるかもしれませんが、今のシチュエーションでというと、私も手術をお勧めします。
9歳のワンちゃんの手術リスクは1歳未満の若いワンちゃんのリスクよりも確かに高いでしょうし、てんかん発作の経歴を持つワンちゃんの手術リスクもまったく病気を持っていないワンちゃんより少し高いと思います。
ただ、すでに前立腺肥大が起こり始めているワンちゃんを治療せずに放置するリスクのほうがずっと高い、と考えます。
柴犬となるとかなり長寿の子が多いですから、残りたとえば9年生きるとして、年々悪化する前立腺肥大を我慢し、排便のたびに痛みを伴う人生を送るリスク。
さらに悪化し会陰ヘルニアなどの大手術が必要になったときの手術リスク。
結局症状を感化できず、14歳などのさらに高齢で手術をしなければいけないリスク。
これらのリスクと、今のリスクを客観的に比較する必要があるのではないでしょうか。
確かに今手術するリスクも十分考えなければいけないとは思うのですが、そればかりに注視し、手術をしないリスクに眼を背けてはいけないのではと思います。
胃がんのくだりに関しては、本当に獣医さんによりけりの表現だなとは思うのですが、冷静に考えると、ちょっと極論泣きがします。
去勢をしていない男の子で、8歳を過ぎて前立腺肥大になる子は山のようにいます。
しかし、数年に1度しかお目にかからないような、稀な胃がんを例に挙げて、「胃がんになるかもしれないから前もって意を摘出する人がいますか」というのはさすがにちょっと・・・という気がします(たぶんわかりやすく説明するためなのでしょうが)。
生命維持に必要とされる、胃と睾丸の重要度も、それらが高齢になったときに病気になる発生度もぜんぜん違うわけで、それをたとえに持ち出すのはちょっとずるい気がします。
去勢手術をしないという選択肢が必ずしも悪いとはもちろん思いませんが(前立腺肥大にならない可能性ももちろんあるわけですから)、前立腺肥大が始まってしまった以上はやらざるを得ないのではないでしょうか。
胃がんだって、なってしまったら、手術せざるを得ないわけですし。
補足
歯石に関しては、賛否両論あるのではないかと思います。
高齢のワンちゃんをそれぞれの治療目的で、二度麻酔をかけるリスクを考えると、もし麻酔が安定していたら、一緒にやってしまうのが良いという獣医さんもいるかもしれませんし。
歯石除去のように、雑菌が飛び散る手術とメスを入れるような手術を一緒にすべきでないという獣医さんもいるでしょう。
これはさすがに、そのワンちゃんと、その麻酔状況によると思います。
ちなみに私は、あまり歯石除去と他の手術を一緒にすることは好きではありません。
評価・お礼
gomashiba さん
2012/04/12 09:52
沖田先生
ご回答いただき大変ありがとうございました。
詳しく教えていただいて、心配性だと自分でもわかっているのですが
丁寧にわかりやすく教えていただき大変有り難くおもっています。
歯石除去のこと、そうですよね。ついでに行うべきことではないと
改めておもいました。本当にありがとうございます。
回答専門家
- 沖田 将人
- ( 富山県 / 獣医 )
- アレス動物医療センター センター長
地域に密着したワンランク上のホームドクターを
アレス(Alles)とはドイツ語で「あらゆること」を意味します。インフォームドコンセントの充実、年中無休、CTスキャナ導入など動物たちの幸せにつながることなら、飼い主様のあらゆる要望にお応えしたい。そんな願いを込めて診療に取り組んでいます。
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