対象:遺産相続
松野 絵里子
弁護士
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特別受益となる生前贈与の範囲
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生前贈与のお話ですが、その前に特別受益ということが問題になっていますね。
相続人の間でなくなった方から生前にもらっていたものがある人については、その分、相続分から引いて平等に分けましょうというもので、公平のための制度です。
ですから、生前贈与があればその分お父様の相続分は減ります。
では、どこまで生前贈与なの?ということになるでしょう。
結婚資金(結婚準備のためのお金や持参金など)とか住宅購入資金の援助とか、額の大きい学費援助などは特別受益になりますが、あまりまとまっていない金額の贈与で、お小遣いのようなもの、プレゼントは含まれないでしょう。
10万円を定期的に毎月もらっていたのはなく、叔母の気が向いたときにもらっていたなら、ちょっとしたお小遣いであったというようなこともできると思います。数十万円の学費補助みたいなものになると生前贈与ということになってしまうかもしれませんが・・・・。
「自分の将来を鑑み私の弟を頼りにすることを念頭に置いた叔母の父へのお金の受け渡しは贈与という言葉でやはり一括りになってしまうのでしょうか?」というご意見は、ごもっともだと思います。
ただ、何か弟さんに残したければ叔母様にて遺言を書くべきでしたし、そういう制度を民法が用意しているのに使わなかったのが残念です。
お子さんがいない方こそ、のこされた人のために遺言は必要なのですが忘れがちなのでしょうか・・・
たとえば、遺言で、父への生前贈与分を特別受益として相続財産に加えなくてもいいということを明言しておけば、今回のような問題は起きませんでした。
お墓については、民法は、遺言などで「祭祀の承継者」として指名した人が継承するものとされていますが、それがないわけですから、協議して承継者が決められることになりますね。
それでも決められない場合、最終的には家庭裁判所が決定することになります。
最終的には、遺産分割協議の中でこれにかかる費用も論点にしてきちんと協議して決めるべきでしょうね。協議がまとまらないなら家庭裁判所の調停がありますので、そちらで話合うことができます。弁護士をつけてもつけなくても使える制度です。
評価・お礼
kei2305 さん
2010/11/23 16:45
いただいた回答に対して評価が大変遅くなり申し訳ございませんでした。
先生の文章を改めて再度読み直すと過ぎてしまったことに対して伯母がなさなかったことへの残念さと、伯父達に言われて「それが常識であろう」と自分も納得していた部分が、実際の民法上では決定している訳ではないことを認識でき、今後数カ月は続くであろう相続問題への対処の仕方はやはり素人だけではままならないことを知りました。
本当にありがとうございました。
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