対象:会社設立
法人成りにはメリットとデメリットがあります。
seitaiさん、こんにちは。
個人事業の法人化、いわゆる「法人成り」に関するご相談ですね。御事業は順調に利益を出されており、将来を見据えて事業形態の合理化をお考えになっておられるのは大変素晴らしいことですね。
しかし法人化にはメリットとデメリットがあり、実際に法人化に踏み切るには、ここの慎重な見極めが必要です。
質問内容からseitaiさんの会社化の目的は、第1に高すぎる税負担の対策をしたい、第2に事業拡大に備えて信用面の強化を図りたい、という趣旨と推察いたします。
確かに一般的には事業所得が800万円を超えると、法人成りにより税額・社会保険料の合計額は減少する可能性が高いです。これは例えば現在の利益分を全額役員給与にしてしまえば法人事業税は均等割りの固定分だけになり、所得税は事業所得から給与所得になり控除が発生するためです。
しかし法人化による変化はこうした金額面のメリットだけではありません。とりわけ注意するべき点は、事業資金を個人が自由に使えなくなることです。自由にお金の出し入れができる個人事業と異なり、役員給与は一度定めてしまうと簡単に変更できなくなるため、気軽に調整できません。また赤字でも課税される法人住民税の均等割額など、ランニングコストが増えてしまうことも注意しましょう。加えて登記費用などの初期コストもあります。
また法人化の手続きや法人化後は会計処理は個人事業主の場合よりも複雑になり、恒常的な税理士など専門家の利用も必要になる可能性があります。多くの税理士の方が法人成りを機に顧問契約を提案するのも、このためです。周囲に会社化をお勧めの方がいらっしゃるとのことですが、信頼してご相談できる方でしょうか?利害の絡まない相手を相談者として慎重に見極めましょう。その上で法人化後の役員給与の設定、売上見通しなどを具体的に考えてシミュレーションを行い、第3者の視点からレビューを受けることをお勧めします。
いずれにせよ開業3年目とのことで、今は目の前のお客様とのお付き合いを深め、経営基盤を安定させる時期かと思います。その上で、事業拡大のための借入等を具体的にお考えでしたら他の方もご指摘のように、法人化することも検討するべきでしょう。
seitaiさんのご成功を心よりお祈りいたします。
補足
個人事業の範囲で可能な節税対策について補足します。
「青色事業専従者給与の特例」は生計を一にされている専従者の方の給与を経費として計上できる制度です。専従者である奥様についてもしまだこの制度をご利用でなければ、ご利用になることをお勧めします。
他に「小規模企業共済制度」という共済制度もうまく利用することで節税効果もありますので、以下にリンクを張ります。
【参考リンク】
No.2075 専従者給与と専従者控除|所得税|国税庁
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2075.htm
中小機構:小規模企業共済: 個人事業主や小規模企業の節税に最適な共済制度
http://www.smrj.go.jp/skyosai/052379.html
また、ご自身で法人成りした場合のシミュレーションをする際の参考書として以下の書籍をお勧めします。
税理士の方が書かれた本で、法人成りした場合の税額を算定できるExcelシートなどが「付録」として公開されています。
・「個人事業者・フリーランスのための小さな会社をつくるメリット・デメリット」
小林敬幸・著 秀和システム 定価1400円
http://www.shuwasystem.co.jp/products/7980html/2747.html
回答専門家
![小松 和弘](https://d32372aj5dwogw.cloudfront.net/home/profile/front/html/img/professional/ll/1324398724.jpg)
- 小松 和弘
- ( 東京都 / 経営コンサルタント )
- ホットネット株式会社 代表取締役
中小企業のITで困ったを解決します!
ITまわりで、中小企業の困ったは様々です。どこに連絡すれば良いのか判らず、色々な窓口に電話をかけても解決できない事が多くあります。そんな「困った」の解決窓口の一本化と、中小企業の健全なIT化を推進しています。
(現在のポイント:6pt)
この回答の相談
個人で整体をはじめて二年がたちます。
一人で施術していますが年間2500人位を5500円の料金で診ています。
経費は家賃や光熱費、消耗品費を考えても月々30万もあれ… [続きを読む]
seitaiさん (茨城県/40歳/男性)
このQ&Aに類似したQ&A