対象:住宅設計・構造
芦田 成人
建築家
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これからは政情も踏まえた動きとなりそうです。
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初めまして、alfa115さん。芦田成人建築設計事務所の芦田成人と申します。
お答えの前に、最近この質問に関する政策がかなり大きく動き出している事もあり、まず時系列に流れを整理してみます。
我が国の住宅省エネに関する動きはオイルショック以降に制定され1980年に旧省エネ基準、1992年に新省エネ基準、1999年に次世代省エネ基準、2009年に次世代省エネ基準の改定が行われましたが、住宅版エコポイントや長期優良住宅には1999年時点の基準をクリアする事が求められています。
又、日経新聞によると2020年までにエネルギー消費が差し引きゼロの住宅を標準化しようと言う動きもあるようです。
そして先日、前原国交大臣の次世代省エネ基準を義務化すると言う発言を受けて、施策に大きく影響を受ける業界としてはこの流れに追随せざるを得ない状況となる事が見込まれます。(政権が継続すればと言う前提ですが、しかし消費エネルギーを抑えると言う課題は政権がどうのこうの以前に地球を上げて取り組まねばならない課題のように感じます。)
他の方のお答えにもありますように我が国の基準は諸外国のそれに比べればかなり緩いものでもありこの分野での先進国の手法を国内に持ち込んで取組みを始められている方々もいらっしゃいます。
前置きが長くなりましたがそろそろ結論へ向けて修正しなければなりませんね。
まず参考までに実際に今年の2月に新省エネ基準程度の仕様で設計したお住まいの温熱測定のデータが私共の手元にはありますので一部開示致します。
A邸
建築場所 兵庫県姫路市(山寄り)
測定日2010年2月14日
室内最低気温 午前7時 13.5℃ 1日の室内平均湿度 38%
同時刻室外気温 0.2℃、1日の室外平均湿度 64%
B邸
建築場所 兵庫県姫路市(海寄り)
測定日 2010年2月21日
室内最低気温 午前6時 13℃ 1日の室内平均湿度 47.7%
同時刻室外気温 -0.5℃、1日の室外平均湿度 63%
補足
さて、このデータをどのように受け止められるかのご判断は委ねますが、暑さ寒さ、快適さの感じ方には個人差がありますし数字だけで快適性は追求できませんが、生活する上での消費エネルギー(光熱費など)を抑えると言う点では断熱スペックに比例する結果は得られると思います。
しかし何よりも大事なのは冬は太陽の光を室内に導き、夏は日射を防ぎ、風を通すと言った事を意識した設計力と、気密断熱をきちんと確保する施工能力が無ければ次世代基準なども絵に描いた餅に過ぎません。まずはそれらのポイントを抑えた上で、住まいづくりに取り組む必要があるように感じます。
alfa115さんは愛知県と言う事で技術的に厳しい条件を課される地域ではありませんが施工的に問題なのは断熱材や気密施工についての手間を嫌がられているのかも知れませんね。
しかし、政情も踏まえた動向は前述の通りでもありますし、その業者さんもこの分野への取り組みは必須条件になりつつある事をご理解頂いた上で、諸条件が許すようであれば次世代省エネ基準を満たす施工をして頂いてもいいのではないでしょうか、と言うのが私の結論です。
評価・お礼
alfa115 さん
データを示した上でのアドバイスありがとうございます。新省エネ基準程度でもすごく寒くも
ないみたいですね。それでもなおかつ、次世代にするかどうかですね。参考になりました。
芦田 成人
御礼コメント遅くなりました。
alfa115さん、御評価ありがとう御座いました。住まいづくりはパワーの居る作業ですが楽しみながら無理せずにお進め下さいね。
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この回答の相談
家を建築しようとしているものです。
不勉強ながら、家なんて今作れば一様に快適だと思ってました。
こういう基準があることを最近になって知りました。
今現在は新省エネ基準の住宅の設計で… [続きを読む]
alfa115さん (愛知県/36歳/男性)
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