【聴心記「心の炎」】第9回 感情と思考(5) - 心の病気・カウンセリング - 専門家プロファイル

国府谷 明彦
カウンセリングセンター聴心館 聴心館館長
東京都
厚生労働省認定 産業カウンセラー

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【聴心記「心の炎」】第9回 感情と思考(5)

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【聴心記「心の炎」】第9回 感情と思考(5)

前回は,
「思考と感情の悪循環」になっているとき,早めに手を打つこと」をお話しました。悪循環があっても,「大丈夫」と考えることでした。 それでは,悪循環に突入してしまって,ぐしゃぐしゃの状態になっているときはどうすれば良いのか? そんなことをお話ししたいと思います。 

最近,毛糸の編み物をする人ってどのくらいいるんでしょうかね? 毛糸の例を出しても通じるかしらん? とりあえず,例えてみましょう。毛糸をきちんと巻いて丸い玉になっていれば良いんですが,ぐちぐちになってしまって,あっちこっちでからんじゃっているところを想像してみて下さい。これをほぐすときに,どうしますかね? 常に全体像を考えながらほどくと言うことはあまりないんじゃないかと思います。からんでいる所とか,ほどけそうな所に焦点を集中して,ほどこうとして引っ張ってみたり緩めてみたりするんじゃないかと思います。

感情と思考の悪循環でも同じです。今あなたの目の前の事実はどうなっているか? 頭の中で考えている内容は,実は先取りしてずっと先の方に行っていることが多いと思います。たとえば,「書類作成が間に合わなかった」というミスした事実を察知して,思考と感情は「ミスったから上司や人事の評価が悪くなる」「このミスでお客様がクレームを行った来るのは確実だ」といった思いや,人によっては「これでリストラになるから,次の仕事を探さなくちゃ」といった思考が働いてしまいます。

こんな時に先ずやって欲しいこと。それは,実際の事実と頭の中の思考がどのくらい離れているかをよく見て欲しいと言うことです。感情的には「あせったり落ち込んだり」していますから,冷静になるのは難しいでしょう。そこで,まず感情を通り過ぎさせます。押し殺すのではなく,「ああこんなこと感じている」と自分の中を通り過ぎさせます。この時,この感情にまかせて何かをしてはいけません。様子を見ていれば,必ず感情のピークは通り過ぎます。その後に,自分の考えていたことと現実の事実を比べてみて欲しいのです。

「リストラされる」と思っていても,実際はまだ,「書類をミスっただけ」なんて状態であることが多いのです。先走りしているのです。「書類をミスった」だけだから,何か対応策がないかを考える,あるいは,ミスった書類に動揺しないためにどうすれば良いか考える,などいろいろできることがあるはずです。悪循環の思考と感情にふわふわ漂ったまま,何もせずにいるということが,さらなる悪循環を生み出してしまうのです。

まとめると,悪循環に入ったら,まず感情を認めてから通り過ぎさせます。その後で落ち着いてから,事実と思考がどのくらい離れているかを確認します。そして,何ができるか考えましょう。決して,感情の波にふわふわ漂わないで下さい。そこから,うつの流れに入ってしまうことが多いのです。そして,自分は出来が悪いとか,人から理解されない,といった思いが出てきてしまいます。

あなたが,その悪循環にあることは,実はうらやましいことでもあるのです。あなたがその立場にいて,悪循環を感じている,その立場にいることを当然のように思っていると思いますが,その立場にすら立てない人もいます。病に倒れた人からすれば,健康で悪循環を悩める人はうらやましい。会社で悪循環にある人は,就活に悩む人からすればうらやましい。極論すれば,亡くなった人からすれば,生きて悩んでいる人はうらやましい(恨めしいじゃないですよ)。そんな立場にあることをちょっと感じてみて下さいね。

ちなみに,死んだ方が楽なんて行ってる人がいますが,一度死んでから戻ってきて報告してくれた人はまだいないと思います。奇跡的に息を吹き返したとしても,向こうにいた時間はそんなに長くない。アフリカに1時間だけいた人にアフリカ暮らしを聴いてもよくわからないですよね。それと同じで,死んだ方が楽かどうかは確実な話とは言えませんね。

ちょっと話がそれてしまいました。今日は,悪循環にもろに入ったときにどうするかの話でした。次回から,「心の炎」に戻った話にしましょう。
【2012.4.17: 聴心記「心の炎」は不定期で展開します】

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