企業の採用活動の進め方もどんどん早期化し、まるでバブル期のようです。そのうち学生を囲い込むために旅行に招待したり、高級料亭で接待したりなどという事がまた復活してくるのでしょうか。
私がずっと新卒採用にかかわる中で一番心がけていたことは、お互いが出来る限りイーブンな立場で接し、自分たちが持つ採用基準は守るということでした。会社と社員が長い付き合いをしていくためには、それが一番良いと思っていたからです。やっていたのは別に特別なことではなく、“相手を見下したり媚びたりしない”、“必要以上におだてたり卑下したり見栄を張ったりしない”、“馴れ馴れしくし過ぎず、かといって事務的過ぎない”、“自分たちの長所、欠点をきちんと伝えて相手の事もしっかり聞く”、“自分たちの都合だけでなく相手の事も考える”など、良い人間関係を作る上での基本レベルの事です。しかし、採用が厳しい時期になれば採用人数のことを言われるばかりで、残念ながらこのような考え方を評価された記憶はあまりありません。
採用現場ではどうしても数を追うせいか、その時の状況によって立ち位置が揺らぎやすいように思います。就職難で思うに任せず、芽を出せずにいる若者が沢山いる一方で、来年、再来年あたりに卒業する学生は変にチヤホヤされ始めています。しかしバブルの頃に散々おだてられ、甘い気分で入社した人がその後どうなって行ったかは、企業もすでに学んでいるはずです。
過去から学ぶことはやはり難しいのでしょうか。需給バランスに左右されるのは経済原則だから仕方がないのでしょうか。長い目で見れば立ち位置を定めるのが重要と思うのですが・・・。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
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