時代遅れになった不動産仲介手数料 vol.1 - 不動産売買全般 - 専門家プロファイル

中石 輝
株式会社リード 代表取締役
神奈川県
不動産業
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時代遅れになった不動産仲介手数料 vol.1

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不動産業界の進む方向性

昨今の新聞では、ネット証券会社が競うように手数料引き下げを行う記事を良く目にします。
ネット上には取引手数料の比較サイトまであり、「手数料がいくら掛かるのか?」ということは、取引の窓口となる証券会社を選ぶ大きな要素となっています。

それでは、不動産売買における仲介手数料はどうかというと…
「仲介手数料を比較する」という発想を持つ方さえ少ないのではないでしょうか。

知ってるようで実はあまり知られていない不動産仲介手数料、今回はまず仲介手数料のしくみからご説明します。

仲介手数料の金額を決めている根拠ってなに?


不動産仲介業者がお客様より受け取る報酬である「仲介手数料」の金額は「昭和45年建築省(現:国土交通省)告示第1552号」により定められており、その概略は下記のとおりです。

(売買代金の本体価格)      (左記代金に対する報酬額の割合)
200万円以下の部分   ⇒   5.25%(5%+消費税)
200万円超〜400万円以下の部分   ⇒   4.2%(4%+消費税)
400万円超の部分   ⇒   3.15%(3%+消費税)

この手数料に関するルールは、告示の名称にもあるように昭和45年に定められたものです。
昭和45年以降では、消費税の導入と消費税率の変更以外、この手数料のルールに変化はありません。
今から約40年前に定められたルールによって手数料が決まっている。
ここにまずひとつめの問題があります。


3%+6万円の手数料は、あくまでも上限金額です


不動産取引の殆どが売買金額400万円超であるため、実質的には下記の速算式が実務上の手数料のルールとして使われています。
売買金額×3%+6万円(+左記金額の消費税相当額)
売買価格が3,000万円であれば100万8,000円、5,000万円であれば163万8,000円となります。

この速算式自体はご存知の方も多いかと思いますが、意外に知られていない事実があります。
それは、3%+6万円の仲介手数料は、あくまでも上限金額であるということです。
前述の「昭和45年建築省告示第1552号」には「その金額以内とする。」という記載があります。

しかし、実際の取引現場では「3%+6万円」という金額があたかも正規の報酬額のように請求されているのが現状です。
ここにふたつめの問題があります。


なぜ不動産売買仲介では手数料競争が進まないのか?


仲介手数料のルールは「上限金額」が定めれれているだけですので、それ以内の金額であればいくらでも構わないのです。
しかし、不動産仲介業界では、他の業界に見られるような手数料競争はこれまで殆ど見られませんでした。
それは「業者とお客様との間の格差」によって成立してきたものである、と私は考えます。

そもそも「不動産」は高額であるが故、一生の中でそう何度と取引をするものではありません。
一般のお客様は、取引の経験が無い or 少ないため、不動産取引に関する知識も乏しくなります。
そこで経験豊な専門家である不動産仲介業者に不動産取引に関する知識の部分を補ってもらい、その対価として高額な仲介手数料を支払う。
仲介手数料には「知識の格差」に対して支払われるという要素がありました。

また、一般のお客様と不動産業者の間には、手元に入る不動産情報に圧倒的な差があり、一般のお客様が物件情報を入手するためには、まずはめぼしい不動産業者に声を掛ける以外に有力な方法がありませんでした。
このように仲介手数料には「情報の格差」に対して支払われるという要素もあったハズです。

しかし、これらの格差は近年、急速に縮小してきました。
その変化もたらしたのは、インターネットの普及による「情報収集手段の発達」と''「お客様の知識化」''、それに伴った''「不動産業者側の情報発信技術の進歩」''にあると思われます。



他の業界に比べ、時代遅れになってしまった不動産仲介手数料。
次回以降では「仲介手数料が今後どのように変化していくのか」について、私の予想をご紹介いたします。


リード 中石 輝
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