業務方法書に記載したら遵守義務が発生する - リスクマネジメント・BCP - 専門家プロファイル

川崎 善徳
東京共同行政書士事務所 代表
行政書士

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寺崎 芳紀
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閲覧数順 2024年04月16日更新

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業務方法書に記載したら遵守義務が発生する

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添付書類 業務方法書

財務局が公表している業務方法書の記載例を見ていきましょう。

 

<部署名の記載>

記載例の第6条第2項に、「当該業務(筆者注:第二種金融商品取引業のこと)を実施する部門は、本店営業部とする」とあります。

また、第6条第3項には「当該業務(筆者注:投資助言業務のこと)を実施する部門は、本店営業部とする」とあり、第4項第2号は「法令等遵守部門は、本店総務部とし、営業担当部門から独立した体制を維持するものとする」とあります。

記載例には、「本店営業部」や「本店総務部」のように、具体的な部署名が記載されています。

財務局の指導もあり、私のクライアントの業務方法書も、記載例の通り、具体的な部署名を記載している業務方法書が多いです。

具体的な部署名を記載することは悪いことではありません。

ただし、具体的な部署名を記載している以上、部署名に変更があったときには、業務方法書の変更届出書を財務局(金融庁管轄の場合は金融庁)に提出しなければなりません。

業務方法書の変更届出書の提出期限は、変更のあった日から2週間以内です。業務方法書の変更届出書の提出の遅れは法令違反です。ですから、業務方法書の作成部門は、部署名に変更がないかどうか、常に、目を光らせていなければなりません。

私のクライアントの中には、具体的な部署名を記載しないで、例えば、「法令等遵守部門は、コンプライアンス部門とする」とのみ記載している会社がいます。

財務局の対応次第ですが、業務方法書に具体的な部署名を記載してしまうと、変更届出書の提出が遅れる、あるいは、まったくなされない可能性が出てきますので、要注意です。

部署名の変更をしてはならないと言っているのではありません。記載例のように、業務方法書に具体的な部署名を記載してしまったら、部署名の変更があるたびごとに、変更の日から遅滞なく(2週間以内ではありません)、財務局に変更届出書の提出をしなければ、法令違反になってしまうということです。

 

<内部監査の実施>

第6条第5項「内部監査部門」の記述は、相当、重要です。第6条第2項第5号第2号を見てみましょう。

記載例は、「内部監査部門は、少なくとも1年に1度は内部監査を実施、健全な内部管理態勢の確保に努めるものとする」と規定しています。

業務方法書は、金融商品取引業者にとって憲法的な存在であることは前回お話しした通りです。だから、記載例通りに業務方法書を記載しているのに、内部監査が1年に1回以上されていなかったら、業務方法書の虚偽記載となり、業務方法書は登録申請書の添付書類ですから、虚偽のことを告げて登録申請をしたことになります。登録抹消処分を受けてもおかしくない状況です。

 

<内部監査の独立性>

第2条第5項第3号は、「内部監査部門は、本店監査部とし、金融商品取引業務を行うすべての部門から独立した体制を維持するものとする。」と記載例にはあります。

内部監査部門は、各部門が法令や諸規則(業界団体規則や社内規則)を遵守して業務を行っているか、不適切な行為はないかなどを監査する部門です。ですから、内部監査部門は他の部門を兼任してしまうと、「自主点検」になり、甘くなりがちであることから、他の部門と兼任できないという理屈はよくわかります。

ただ、組織が小さい会社では、コンプライアンス部門が内部監査部門を兼任している事例が見受けられます。この場合、仮に、業務方法書に、記載例の通り、内部監査部門はすべての部門から独立した体制を維持すると記載してしまっていた場合には、コンプライアンス部門が内部監査部門を兼任している状況は、業務方法書の虚偽記載となってしまうことに要注意です。 

 

<コンプライアンス研修>

記載例の第9条(社内教育・教育部門)は、社内教育・研修部門は、本店総務部とし、役職員の資質の向上を図るため、コンプライアンス全般及び業務全般に関する研修を定期的あるいは随時実施することとする」と定めています。

したがって、コンプライアンス研修が定期的に実施され、あるいは、随時実施される体制整備がなされていない場合も、業務方法書の虚偽記載になってしまいます。

 

<別紙規程>

業務方法書で、別紙規程を参照している場合には、別紙規程は業務方法書の内容ですので、別紙規程を改正した場合、業務方法書の変更届出書を提出しなければなりません。

例えば、苦情処理は「苦情処理規程」によると業務方法書に記載されていれば、苦情処理規程を改正した場合、業務方法書の記載事項にまったく変更がなくても、変更届出書を提出する義務があります。

 

金融商品取引業者は、業務方法書の内容や変更に関しては、かなり、敏感でなければなりません。

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