業務方法書に変更があったら「遅滞なく」変更届! - リスクマネジメント・BCP - 専門家プロファイル

川崎 善徳
東京共同行政書士事務所 代表
行政書士

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寺崎 芳紀
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閲覧数順 2024年04月29日更新

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業務方法書に変更があったら「遅滞なく」変更届!

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添付書類 業務方法書

金融商品取引業者の業務方法書の重要性について、コンプライアンス・リスク・マネジメントの観点から、もう少し見てみましょう。

 

<届出義務>

金商法は、数多くの届出義務を金融商品取引業者に課しています。日常業務の中で重要な届出書は、「登録申請書」の関係と、登録時、登録申請書に添付した「業務方法書」、「人的構成に係る書面」です。

なお、人的構成に係る書面の変更そのものは、届出義務になっていません。

届出義務違反は、刑事罰です。もっとも、現実問題として、犯罪を隠匿する目的で届出を行わなかったという特別な事情があればともかく、通常、届出義務違反に刑事罰が科されることはありません。

代りに、証券取引等監視委員会の検査で指摘を受け、行政処分にいたる可能性があります。行政処分を受けるとレピュテーションリスクが顕在化し、事業に支障が生ずるおそれが大です。

この意味からも、届出義務を怠ることはできないわけです。

 

<業務方法書>

業務方法書は、金融商品取引業者として登録を受けてから行う業務の内容や方法を記載した書面であることは既に述べた通りです。業務方法書は、金融商品取引業者にとって、憲法的な存在であることもお話しました。

業務方法書は、当然のことですが、内容が重要なのですが、変更があった際の届出義務になっていることが、コンプライアンス・リスク・マネジメントの観点からは、非常に重要です。

業務方法書に一言一句でも修正を加えた場合、金融商品取引業者は、変更届出書を財務局(金融庁管轄の場合は金融庁)に提出する義務があります。

提出するタイミングは、変更があった日から「遅滞なく」です。

ちなみに、登録申請書に変更があった場合にも、届出書の提出義務が生じますが、こちらは、変更のあった日から2週間以内です。「遅滞なく」は、2週間よりも短い期間です。

 

<変更届出書>

業務方法書(に限りませんが)の変更届出書の様式は決まっていません。記載する項目は決まっています。記載項目は、金融庁や財務局のサイトで公表されていますので、確認することができます。

提出部数は1部です。ただし、財務事務所を経由して提出した場合は、財務事務所における保管のために、もう1部準備します。

これに、金融商品取引業者自身が写しを保存することを考えると、変更届出書は2部、財務事務所経由の場合は3部準備する必要があります。

手元の写しには、受領印をもらうようにしましょう。提出した日が、後からわからなくなってしまうからです。

 

<新旧対照表>

業務方法書を変更した場合、変更箇所について、新旧対照表を作成して提出します。変更箇所が多いと、新旧対象表の作成にも時間がかかるかもしれませんが、新旧対照表の添付は、金融商品取引法の前身である証券取引法(証取法)の時代から変わりません。

 

<提出を遅延した場合>

業務方法書に変更があった場合には、遅滞なく当局に変更届出書を提出することが法律上の義務ですから、遅滞なく提出されなかった場合は、当然、法令違反です。

法令違反があった場合、金融商品取引業者は「事故届」と言われる書面を提出す義務が生じます。法令違反のことを、金商法では「事故」と呼びます。アクシデントですね。事故が起きたとき、金融商品取引業者は、事故届出を提出しなければなりません。この事故届出も、届出義務の一つです。

業務方法書の変更に伴う変更届出書の提出遅延も事故ですから、金融商品取引業者は、原則として、別途、事故届出を行う必要があります。

ただ、現実には、変更届出書の提出が遅れたといっても、若干である場合には、事故届出を提出する代わりに、「遅延理由書」という理由を記載した書面を提出することで当局は変更届出書を受理しています。遅延理由書は、金商法に基づかない実務です。

変更届出書の提出が大幅に遅れた場合には、事故届出を提出します。事故届出になると、ちょっと(かなり)大変です。

 

業務方法書は、金融商品取引業者の憲法であるから、最重要の社内規則であること、業務方法書に変更が合った場合には、遅滞なく、財務局(金融庁管轄の場合は金融庁)に変更届出書を新旧対照表を添付して提出すること、変更届出書の提出の遅延は法令違反であるから、原則として、事故届を行うこと。

金融商品取引業者が、業務方法書について、最低限、知っておかなければならない知識です。

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