- 川崎 善徳
- 東京共同行政書士事務所 代表
- 行政書士
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
金融商品取引業者として登録を受けるときに必要となるため登録申請書の添付書類は、主に、「業務方法書」と「人的構成に係る書面」です。
<業務方法書>
業務方法書とは金融商品取引業者として登録を受けた後の、業務の内容と方法を記載した書面のことです。
金融商品取引業者の読者の中で、「業務方法書を隅から隅まで読んだことがある」という方は、何人くらいいるでしょうか。
私は、職業柄、金融商品取引業者向けのセミナーの講師を毎月行っていますが、このとき、この質問を必ずするようにしています。過去100名以上の受講生の方に質問した結果、「隅から隅まで読んだことがある」という方は、1名だけでした。これほど、業務方法書は軽視されているのが実態です。
業務方法書の位置づけは何かというと、金融商品取引業者にとって、いわば憲法です。金融商品取引業者の業務は、すべて、業務方法書に記載されている内容に従って実施されなければなりません。社内規則を作成する際には、業務方法書と整合性のとれた、社内規則を作成しなければなりません。
だから、業務方法書は、金融商品取引業者にとって、非常に重要な書類なのです。
<業務方法書の「ひな形」>
財務局は、不動産信託受益権販売業や不動産ファンド販売業に関する登録申請者のために業務方法書の「記載例」をサイトに掲載しています。
業務方法書を書いたことのない登録申請者は、この記載例をひな形として使用することが多いようです。事実、私のクラインの業務方法書を拝見すると、判を押したように、ほとんど同じ内容です。記載例の真似をしているのです。
もし、財務局が公表している業務方法書の記載例を、業務方法書のひな形として使用している金融商品取引業者がいたら、大変危険です。
<財務局からの注意喚起>
財務局は、業務方法書を「記載例」として公表していますが、「ひな形」とは言っていません。
財務局が公表している業務方法書の記載例をご覧ください。関東財務局のサイトにありますから、ダウンロードして、できれば見やすいように印刷しておきましょう。
財務局は、業務方法書の記載例で、赤字で、次のように書いています。
「不動産関連会社の第二種・助言業を想定した例示です。 あくまでも例示ですので同様に記載しないこと。 自社の実態と相違するなど、虚偽記載の場合は、行政処分の対象となります。」
財務局は、はっきりと、「同様に記載しないこと」と注意喚起しています。また、(記載例の通りに業務方法書を作成した結果)「自社の実態と相違するなど、虚偽記載の場合は、行政処分の対象になります」と断言しています。
だから、そもそも論として、財務局が公表している業務方法書の記載例を「ひな形」だと思って使用することが間違っています。
次回から、財務局が公表している業務方法書の記載例をひな形として使用すると、どのような危険があるのか具体的に見ていきます。
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