- 釜口 博
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対象:家計・ライフプラン
生前贈与をうまく使いこなす Part5 ~相続時精算課税制度を賢く使って生前贈与~
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ファイナンシャルプランナーが天職!
BYSプランニングの釜口です。
今回は、
「相続時精算課税制度を賢く使って生前贈与」について
お伝えいたします。
H15年1月1日以後の贈与から、従来の贈与制度と選択する形で
「相続時精算課税制度」が導入されました。
この制度は、生前に贈与した金額のうち2,500万円までは、
贈与税を課税せずに、相続時まで課税が繰り延べされるものです。
(2,500万円を越えた金額に対しては、20%の贈与税が課税)
相続時には、贈与価格を相続財産に加算して相続税を計算します。
【 適用要件と特徴 】
1.65歳以上の親から20歳以上の子(養子、代襲相続人を含む)への
贈与であること
2.贈与年の翌年2月1日から3月15日までの間に、「相続時精算課税
選択届出書」を税務署に提出
3.各受贈者が贈与者ごとに選択できる(贈与者の人数制限なし)
4.暦年贈与との選択制であり、一度選択すれば取り消しはできない
(暦年贈与の110万円の基礎控除は使えない)
5.生前贈与時に納めた贈与税は、相続時に相続税から控除され、
控除しきれない部分は、全額還付される。
6.住宅取得資金等の場合は、贈与者(親)の年齢制限はない
相続時精算課税制度の最大のメリットは、相続時に加算される
贈与財産の評価は、相続開始時ではなく贈与された時の価格に
よって決まるということ。
贈与された時から相続時まで課税が繰り延べされるわけですから、
将来価値が上昇するであろう財産を、価値が低い時に生前贈与
することで、相続人に利益をもたらすことができます。
例えば、
・中小企業の経営者が後継者の相続人に、自社株を生前贈与する
・将来株価が上がるであろう株式を生前贈与する
・将来不動産価額が上がるであろう土地を生前贈与する
・家賃収入が見込める賃貸のマンションやアパートを生前贈与する
この制度の最大の注意点は、上記4にあるように、一度選択して
しまうと、後戻りができなくなる点です。
また、生前贈与された段階では、2,500万円までは課税されませんが、
相続時に繰延された贈与価格に対して、相続税が課税される点にも
注意が必要です。
つまり相続財産が相続税の基礎控除を大幅に超えて、相続税を
払うようなケースでは、使わない方が賢明です。
※相続税の基礎控除は、来年以降の相続に関しては引き下げが
決定している(3,000万円+1,000万円×法定相続人の人数)。
一番メリットが甘受できるのは、この制度を使った生前贈与価格を
含めても、相続時に相続税を支払わなくてもよい、あるいは、
相続税が低額で済むケースです。
ご質問やご不明な点がありましたら、
お気軽にご連絡下さい。
メール:waku@bys-planning.com
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