「中小会計指針」各論~その5~ - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

山本 憲宏
山本公認会計士事務所 所長
滋賀県
公認会計士
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「中小会計指針」各論~その5~

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今日は「中小会計指針」の各論の解説の続きです。

 

今回も、「有価証券」です。

 

「有価証券」は、19.有価証券の分類と会計処理の概要、20.有価証券の取得価額、21.有価証券の評価方法、22.有価証券の減損、23.貸借対照表上の表示、24.損益計算書上の表示の6つの項目から構成されています。

 

「有価証券」の本文をあらためて掲載させて頂きます。

 

・有価証券(株式、債券、投資信託等)は、保有目的の観点から、以下の4つに分類し、原則として、それぞれの分類に応じた評価を行う。

(1) 売買目的有価証券

(2) 満期保有目的の債券

(3) 子会社株式及び関連会社株式

(4) その他有価証券

・有価証券は、「売買目的有価証券」に該当する場合を除き、取得原価をもって貸借対照表価額とすることができる。ただし、「その他有価証券」に該当する市場価格のある株式を多額に保有している場合には、当該有価証券は時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額(税効果考慮後の額)は純資産の部に計上する。

・市場価格のある有価証券を取得原価で貸借対照表に計上する場合であっても、時価が著しく下落したときは、将来回復の見込みがある場合を除き、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は特別損失に計上する。

 

この有価証券についても、会計基準と「中小会計指針」では大きく異なるところではないでしょうか?

上場会社において、有価証券については原則として時価評価を求められています。一方、「中小会計指針」においても、原則としては「その他有価証券」についても時価評価を求められています。ただ、市場価格のあるその他有価証券を保有していたも、それが多額でない場合には、取得原価をもって貸借対照表価額とすることができる、とされていることからみても、財政状態に重要な影響が与えることがない限りは時価評価の必要がないといえます。

この点においては、財政状態に重要な影響を与えるかどうかという点については非常に難しい判断になりますし、この点においては明確な指針が出てきておりません。しかしながら、通常企業が保有する有価証券で財政状態について重要な影響を与えることとは考えにくいため、市場価格のある有価証券についても取得原価をもって貸借対照表価額にすることができると思われます。

 売買目的有価証券については、時価評価することを求められています。しかしながら、売買目的有価証券に分類するためには、法人税法の規定においてもトレーディング目的の専門部署を設置していることが求められる等、具体的なトレーディング部署が必要とされます。事業会社においては、このような部署を設置していることが考えられないことから金融機関や証券会社などを除いては、一般の事業会社においては、売買目的有価証券に分類されるような有価証券を有していないと考えることができます。

 

 今回は有価証券について気になる論点について解説させていただきましたが、次回以降は有価証券の個別の項目について解説させていただこうと思います。

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