- 山本 憲宏
- 山本公認会計士事務所 所長
- 滋賀県
- 公認会計士
対象:会計・経理
今回も「中小会計要領」の各論の解説の続きです。
今回は、「9.繰延資産」を取り上げます。
まずは、本文の抜き出しからです。
(1) 創立費、開業費、開発費、株式交付費、社債発行費及び新株予約権発行費は、費用処理するか、繰延資産として資産計上する。
(2)繰延資産は、その効果の及ぶ期間にわたって償却する。
繰延資産は、対価の支払いが完了し、これに対応するサービスの提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって生じるものと期待される費用をいいます。
繰延資産は、本文の(1)にあるように、創立費、開業費、開発費、株式交付費、社債発行費及び新株予約権発行費が該当します。
これらの項目については、費用として処理する方法のほか、繰延資産として貸借対照表に資産計上する方法も認められています。
資産計上した繰延資産は、(2)にあるように、その効果の及ぶ期間にわたって償却する必要があります。ただし、創立費、開業費、開発費は3年以内に、株式交付費及び新株予約権発行費は5年以内に、社債発行費は社債の償還の期間までに償却する必要があります。
ただし、資産計上した繰延資産について、支出の効果が期待されなくなったときには、資産の価値がなくなっていると考えられるため、一時に費用処理する必要があります。
なお、法人税法固有の繰延資産については、会計上の繰延資産には該当しません。そのため、固定資産(投資その他の資産)に「長期前払費用」として計上することが考えられます。
「法人税法固有の繰延資産」とは以下に記載するような費用で、効果が支出の日以後一年以上に及ぶものが該当します。
イ 自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用
ロ 資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立退料その他の費用
ハ 役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用
ニ 製品等の広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用
ホ イからニまでに掲げる費用のほか、自己が便益を受けるために支出する費用
今回は「中小会計要領」の解説にそった形で解説させていただきました。
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