大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「ソーシャルメディアに囚われた子供・若者たち」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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ソーシャルメディアに囚われた子供・若者たち

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科学に基づいた心理学から 2016-05-04 16:25

世界で約34億人の人がインターネットを使用しています。

 

日々進化するインターネットの恩恵なしには考えられない日常になりました。

しかし、特に10代の子供、若者たちが、インターネットの危険性を理解しないまま深刻な結果を招くケースが多くなっているのも現状です。

 

“The New Risks for Teens in Social Networking Sites” (Mary O. Foley) の記事を基に若者が陥るインターネットの危険性について述べてみます。

 

人間の脳は常に仲間を求めるように遺伝子が組み込まれています。 特にまだ発達途上の10代の若者は必死で仲間を求めてしまうようです、しかも危険がいっぱいのインターネット上で。

 

実生活での友達がソーシャル・ネットワークサイトの友達に置き換わります。

Facebook, LINE, Twitter などのサイトには「友達」とのメッセージのやりとり、写真の共有があふれています。

 

この意味することは、子供や若者の全く個人的な情報・写真が “ENTER” をタップするだけで、1秒も立たないうちに、34億人の目にさらされることになるということです。

そこには子供・若者には想像だにつかない危険が待ち構えているのです。

 

簡単にインターネット上にアップロードした情報が、自分の将来に亡霊のようにつきまとうことに気がついていない子供たち。

 

例えば、将来仕事につく時に、大学に進学する時に、結婚相手に出会った時に。

 

世界はひとつひとつのメッセージ、写真、映像を見張っています。

「ずっと将来までつきまとい、自分の人生を台無しにする情報はインターネット上に載せないこと。」

 

ソーシャル・ネットワークサイトはうまく作られています。 自分を自由に表現し、同じ興味を持った人と簡単に「友達」になれます。

そのため大きな勘違いをしてしまう子供や若者がいます。

 

公に出すべきではない情報をアップロードしても、それは自分の「友達」が見るだけだという勘違いです。

実は、34億人が見ています。

それに気づかず、深刻な結果を招く例があとを絶ちません。

 

社会の常識を持った親の出番です。

ソーシャル・ネットワークなどでの子供の活動を細かくモニターし、不適切なものがあれば削除させる。

親にとって良い機会でもあります。

「社会で認められることと、認められないこと」を教える機会。

 

え?子供のプライバシーを侵害したくない?

親に見せることを子供が嫌がる?

何を言ってるんですか。

もうすでに34億人が見ているものにプライバシーも何もありません。

 

もうひとつ重大なこと。

一度インターネット上にアップロードした写真、ビデオ、コメントは完全には削除不能だということ。

これも子供に教える必要があります。

 

将来勤めたい会社、入学させる学生の選抜を行う大学などは非常に入念なチェックを行い始めています。

特にソーシャル・ネットワークサイトでの過去の履歴を細かく調べています。

 

現在勤めている会社、通っている学校も同じです。

社員、生徒のインターネット上での活動に目を光らせています。

 

もし、「否定的」「暴力的」「嫌がらせ」的なツィートをアップロードしたとしたら。

ツイートした本人は「冗談だった」「ただ言ってみただけ」かも知れませんが、相手にとれば非常に不愉快であり、脅しともみなされることになります。

 

そのため、クビになったり、退学になったりのケースが増えています。

 

昔から10代の子どもたちは確かに馬鹿なことをしました。

社会の常識のないまま「否定的」「暴力的」「嫌がらせ」を友達同士で叫び合うこともしました。しかし、それは友達の中でだけの馬鹿な行為で済みました。

 

馬鹿な行動をする場がオンラインに変わっただけです。

常識、分別のない子供はそのままオンラインで馬鹿なことをします。

テクノロジーの発達は、子供を成長させているのではなく、危険に陥れているだけかも知れません。

 

今はたわいのないコメント、写真、映像を発信しているだけの子供たちも、非公開設定で安心している子供たちも、インターネット上の34億人の怖さを十分を認識すべき、いや、親が権限を持ち認識させるべきなのが、残念ながら現代の実情だと感じています。

 

子供たちのソーシャルメディアを覗いてみると、凍り付きそうな現実も垣間見えて来ます。

返信まで時間で友達関係が変わるとか、セイルフィーをアップロードした友達にコメントは必須だとか、「いいね!」をしないと仲間はずれになるとか。

 

ソーシャルメディアがまるで牢屋のように見えてきました。

日常が完全に乗っ取られていますね。

そして中毒症状。

オンラインの中に居ないと動揺し何も手につかない。

 

そのうち、その仮想空間にうまく騙され、自分の将来を台無しにするような暴走を始めてしまうのかも知れません。

 

こんな数字もあります:

10代の51%が1日1回以上自分のサイトをチェックする

22%が10回以上チェックする

39%が後で後悔するようなものをアップロードしたことがある

37%が人、動物、物を笑い者にしたり、脅したりするコメントを自分のサイトに載せたことがある

 

昨日の日本経済新聞にもこんな記事がありました。

 

ー生活習慣良好な小・中学生のスマホ熱中度は低いー

 

生活習慣が身についている子供は、携帯電話やスマートフォンに熱中する度合いの低いことが国立青少年教育振興機構の調査で分かった。

「特にすることがない時にスマホなどを操作している」「食事中でもスマホが気になる」などのスマホ熱中度を調査した。

 

 

「特にすることがない時、食事中などに」インターネット上に載せたコメントに、一生涯付きまとわれる子供たち。

 

人類が、テクノロジーの発達に追いつけない時代になったと思います。

 

 

日本とカナダで日本の中高校生の指導をしています。

34億人がみつめているその子供たちのオンライン活動は、私にも目が離せないものになりそうです。

 

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