大澤 眞知子(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)- コラム「「ストレスなしの英語勉強法」Really?」 - 専門家プロファイル

大澤 眞知子
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「ストレスなしの英語勉強法」Really?

- good

英語学習方法 2016-01-22 15:33

何年も英語の勉強をしても英語が出来ない。。。という嘆きにつけこんで、「簡単!」との歌い文句を並べた「英語教材」の宣伝が多いですね。

 

先日は「ストレスなしの英語勉強法」というのに目が止まりました。

 

ははぁ、これだな、日本人の病的な英語下手の原因はと。

「ストレスはいやだ!」ですか。

 

37年、日本で英語教育にかかわって来ました。

膨大な数に登る教え子たちの中で、英語の達人に成長し、世界に向けて活躍する生徒たちに共通して言えること。

 

英語勉強の「ストレス」を積極的に受け入れ、「ストレス」を克服することに学ぶ喜びを見出した生徒たちです。

 

『ストレス」とは、心理学上の意味では、自分が変わらなければいけない時に感じる心的負担のことを指します。

 

毎日の生活の中では様々な変化が周りに起こります。

例えば、引っ越しをすると、環境に大きな変化が起こり、自分がその変化に合わせていかなければなりません。

合わせる過程で感じる心的負担を「ストレス」と言います。

 

『ストレス」はネガティブなことだけで起こるわけではありません。

The Social Readjustment Rating Scale(心理学で使うストレス度合いを測る基準)によると、「配偶者の死」が100の値で一番高いですが、実は「結婚」も50 というかなりのストレスを受ける変化と考えられています。

(納得する方も多いのでは?)

 

英語勉強に必須の「脳」の変化 = 英語勉強から受けるストレス

 

1.  極初歩の段階から英語の勉強に必須なのは「なぜ」を常に考えることです。

 

例えば、“like” という単語は、英語を習い始めたらかなり初歩の段階で使うようになります。

動物についての質問で、“I like cats.” と口に出した瞬間、”Why?” が続きます。

 

日本社会では「なぜ」の質問がタブーです。

権威に逆らっていると考えられます。

 

ですから、生徒に”Why?” の質問をした瞬間、顔がこわばり一種恐怖の表情を浮かべます。

そこから「脳」の変化が始まり、「なぜ」に反応出来るようになります。

 

相当の「ストレス」です。

 

2. 「なぜ」を考えた後は、英語理解に欠かすことの出来ない「具体的」な「脳」への変化です。

勉強を始めて2〜3年。 語彙や文法レベルが上がって来た生徒の「ストレス」です。

 

“I like cats.” “Why do you like cats?” とやっと「ストレス」に耐えた「脳」が答えます。

“Cats are cute.” “For example?” 「例えば?」

 

英語は「なぜ」と「例えば」で成り立っていると言っても過言ではありません。

「原因&結果」の関係を論理的に説明する「なぜ」と、それを具体的、簡単明瞭に説明する「例えば」なしでは機能しないのが英語言語です。

 

この具体的な「脳」に変化していくのには、かなりの個人差がありますが、相当の年数はかかります。

うんうん唸りながら具体的な例を考えている生徒たち。

それが授業の日常風景です。

 

「ストレス」はかなりのものです。

 

具体的な英語が使えるための練習を、カナダからの教材を使ってやっています。

カナダの小学生レベル(1〜2年)のWriting です。

すべてが「なぜ」と「例えば」で構成されています。

それをここの生徒たちは Canada Writing と呼んでいます。

 

進んではやりたくない勉強のようです。

「ストレス」を感じるからです。

 

その「ストレス」を乗り越えた生徒たちの「脳」は英語にぴったりはまっていきます。

 

「ストレス」に耐えられず落伍した生徒たちは、「なぜ」「例えば」の存在しない塾の暗記英語に逃げ込んでしまいます。

そして、英語の出来ない日本人になってしまいます。

 

3. 最後の「ストレス」は、自分から知識を貪欲に吸収する「自己動機」です。

 

ただ単に「なぜ」「例えば」の「脳」思考過程が出来ても、中身が必要です。

何を話すか、その具体例をどこまで知っているかです。

 

そのためには、本を読むことに始まり、coursera, edXなどのMOOC(Massive Open Online Course) などを活用したり、英語で出来るだけたくさんの情報を吸収することが不可欠です。

 

「次はこれをしなさい。」を待っている受け身な英語勉強ではなく、自分から英語で知識を求めていく態度。

 

受け身一辺倒の日本の教育、塾に慣れきってしまった指示待ちの「脳」にはこの上もない「ストレス」です。

この「ストレス」に対処出来た生徒のみが、「英語が出来る日本人」に成長を遂げていきました。

 

さて、「ストレスなしの英語勉強法」という宣伝文句。

「挫折なし、かんたん、楽しい、ストレスゼロの単語記憶法」

 

「ストレスなし」=「脳に変化なし」

 

日本人の英語下手が治らないわけですね。

 

Good luck, Dude.

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