大澤 眞知子
オオサワ マチコグループ
「どうしても留学したい!」 - なぜですか?
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日本の高校生・大学生がカナダに正式留学するのを支えて35年になります。
その立場から下記の質問に回答しました。
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【相談】
日本の大学二年生です。
留学への憧れをずっと持っており、高校時代イギリスで2週間短期留学した時に、これが自分のやりたかったことだと強く思いました。
留学で広い世界を見て視野を広げたい一方、日本が窮屈に思えてしまい、日々辛く感じています。
日本の大学では、環境の変化にうまくついていけず苦労しています。 大学からの交換留学に参加するにも英語力、学力が足りません。
ですから、留学費用をためるため、大学中退し実家へ戻って働こうと考えています。 ですが、不安感と、勉強したいことは変わらないのに大学辞めるというのも悩みどころです。
留学したい気持ちはどうしても捨てられません。
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【回答】
「留学」とは何をすることなのかをよく把握できてないまま、バラ色の憧れが先に立ってしまっている典型的なケースのようですね。
「留学」という日本語。
ご相談者の悩みは、実はこの日本語の定義が余りにも曖昧なことに関係があると感じます。
ということで、まずはこの国に蔓延している「留学」への間違った思い込み排除から回答を始めます。
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「留学」を辞書で調べてみると: 他の土地、特に外国に在留して学ぶこと。
なんと! 辞書も非常に曖昧です。
もともと日本での「留学」とは、いわば特権階級の若者が、日本の国を担っていくために必要な知識を、進んだ外国で身につけることを指していたからだと思います。
ですから、「外国に在留して学ぶこと」でよかったのでしょうね。
時代が変わり、多くの日本人が外国で勉強することが可能になってきました。
それにつれ、いわゆる専門的な特別な知識をつけるわけでもない「短期語学研修ホームステイ」までもが「留学」を呼ばれるようになってきました。
ここが混乱のもとだと思います。
単に英語での生活を体験をする。
英語圏のホストファミリーのところに滞在する。
1年や2年程度、英語圏のESLコース(外国人のための英語コース)で勉強する。
これを「留学」と呼ぶのはそろそろ止めにする必要があると強く感じます。
その国でなければ学べない知識をつけるために、その国に在留し勉強をする。
例えば、正式にカナダの大学に入学し(TOEFLとかの高い点数とこれまでの高い学力が必要)、学士号、修士号などを取得する。
高校留学の場合も、例えばカナダ規定の高校終了単位を取得し、卒業資格を取得する。
これも並大抵の能力では無理なことです。
このような形だけを「留学」と呼ぶべきだと思います。
例えば、高校や大学に1年程度「お客さん」としておいてもらい(交換留学によくみられるケース)、単位などは特に関係なく学校を体験するだけ(現在、日本の多くの大学が学生集めのために使う方式です。 「1年~2年留学出来ます!」って。)
これらは「留学」ではなく、「旅行」と扱うべきですね。
英語圏に「旅行」し、英語で苦労したのと同じ程度の成果しか見込めないからです。
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さて、アドバイスです。
相談者の過去のイギリスでの2週間の「旅行」(ご本人は留学と呼んでいますね)はきっと楽しい体験だったのだと思います。
それがバラ色の記憶として残ってしまったようです。
文化心理学の研究が示していることですが、外国での滞在が6か月までの場合は「周りの新しいことに刺激され、高揚した気分が続く」そうです。
(それを過ぎると今度は停滞期。 ホームシックはこの辺りで矢ってきます。)
また、高校生などのプログラムは100%おぜん立てされており、本人は引率者に頼っていればいいだけですし、日本から一緒に行った仲間もいます。
そんな環境の中、「私は留学に向いている!」と勘違いすることはしごく当然でしょう。
しかし、そんな勘違いは非常に危険です。
早くその勘違いに気付くことが必要だと思いますよ。
質問内容から現実的なアドバイスをするならば:
日本の大学を続けること。
その間にもう一度英語圏に、今度はひとりで、出かけどの程度自分だけで通用するか試してみること。
その結果、「自分は出来る!」と自信を持った時点でその時の選択肢を探すのが最良の方法だと思います。
その理由は:
1. 日本での環境変化にも動揺するなら、まず外国での環境変化には対応出来ないと思います。
2. 現在の英語力は恐らく英語圏の大学入学には届かないようですね。 その場合は何の役にも立たないインチキ語学学校くらいしか選択肢はないです。 そのために、大学を止めるのは賢明な選択ではないですね。
3. 「留学」をどうしてもしたい理由が明確ではないですね。 「日本でうまくいかないから外国で」というのは「失敗」にまっしぐらの理由だと思います。
日本でもうまく歩けないよちよち歩きの子供が、車がびゅんびゅん走る高速道路の真ん中を歩くくらい危険な選択です。
まずは自分の能力・適性をよく見極めてから行動なさることが今非常に大切だと思います。
Good luck.
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カナダの小・中・高校の教育課程を基にした指導をしています。
クリティカルシンキングの基本が出来た生徒は「カナダの小さな町での留学・ボランティア」で自分本来の能力を発揮中です。
Super World Club(大澤眞知子、Robert McMillan)