対象:新築工事・施工
加藤 正樹
エクステリアコーディネーター
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名古屋市(宅造用)L型擁壁について
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名古屋市タイプのL型擁壁を施工してきた経験からお話しします。推測ですが上述の場所は恐らく名古屋市の東部に位置するのではないかと思います(外れていたらごめんなさい)。一般的には硬い粘土層の地盤です。構造物建設の地盤としては適しています。しかしながら造成は切り盛りをするので該当地が盛土の可能性もあります。以前の状況は開発申請図面を参照すれば分かります。
文面から擁壁が南と北の2方向にありますが前者は他者所有敷地内であり後者(北側)のみが自己所有ではないかと思われます。
名古屋市の鉄筋コンクリート造のL型擁壁についてですが仕様書には設計条件として「耐震設計 大地震、中地震を考慮している」と記載されています。ここでの大地震が東海地震に相当するのかどうかは名古屋市土木局に問い合わせなければ分かりません。仕様基準も神戸の震災後はそれ以前と比べて大幅に厳しく改訂されています。施工者の立場からするともしこの擁壁が損壊(例えば傾く)するなら過去の施工擁壁はもっと危険と言わざるを得ません。
手元の資料によると名古屋市の「見かけ高3m」のベース幅(水平方向)は2.7m、「3.5m」で3.2mです。「見かけ高4m」の資料はありませんが3.6m位の筈です。従って北側は擁壁のベースと建物基礎が0.7mオーバーラップします。建物の水平方向の荷重が擁壁にかからないように柱状改良で回避するのではと推測されます。ただここで懸念されるのはベースに建物の垂直方向の荷重を事前に計算しているかです。「3m」擁壁の地盤調査をしていればいいのですが(義務はありません)。私が去年施工した擁壁はベース上に建物がのるためハウスメーカーは地盤調査をしその結果地盤改良をしました。
「3.5m」以上はベース下の地盤調査が義務なのである意味で安心できます。当然そのデータは有る筈です。北側が埋め立て地でなければそのデータが援用できます。
大地震で想定される擁壁の損壊は具体的には傾くことが考えられます。北側の擁壁が隣地に傾いた場合建物は持ち上げられことになり擁壁の改修どころではありません(建物の方が思いので実際にはあり得ないでしょう)。南側の擁壁の場合、どちらが費用負担をするかの問題もありますが改修コストは新規造成より間違いなくかかります。
多少なりとも参考になればと思います。
評価・お礼
ALT さん
2011/05/16 23:50
加藤 様
御丁寧に説明頂き誠に有難うございます。御推察のとおり,名古屋市東部で,粘土質の地盤です。
最近,質問させて頂いた宅地内にて,場所変更を行いました。当該区画は99%切り土で4m以上の擁壁は北面にあり,その上に建物が建つような感じです。以前の区画においても,柱状改良費用は含まれていましたので,擁壁の高さに関係なく,地盤改良を行うかどうか検討しているように思います。
御丁寧かつ,的確な返信を頂き誠にありがとうございました。
加藤 正樹
2011/05/17 21:47評価していただき有り難うございました。
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この回答の相談
名古屋市で新築戸建の購入を計画しています。
気に入った場所で土地分譲(建築条件付)をしているのですが,宅地には擁壁があり,地震等が
あった場合,擁壁の改修工事はできるものだろうかと案… [続きを読む]
ALTさん (愛知県/31歳/男性)
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