事業再生研修会(研修)を受講しました。 - 事業再生と承継・M&A全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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事業再生研修会(研修)を受講しました。

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債務整理

 講座名       事業再生研修会 ~不況に苦しむ中小企業の再建・再生のために~

 研修実施日  2009年9月15日開催

 実施団体名  日本弁護士連合会       

 

[講師]
瀬戸 英雄 弁護士(事業再生実務家協会専務理事・第一東京弁護士会) 
松嶋 英機 弁護士(事業再生実務家協会代表理事・東京弁護士会) 
野村 智夫 氏(公認会計士・税理士)

 

 

 

No

 

講座タイトル

時間

 

 

 

再生

01

 

事業再生研修会  パート1 

民事再生法、会社更生法

01:12:18

 

 

 

 

02

 

事業再生研修会  パート2

私的整理、事業再生ADR

00:58:19

 

 

 

   

03

 

事業再生研修会  パート3

01:20:55

 

 

 

   
 

03:31:32

 

 

 

     

                                                              

 

 

パート1

・株式会社企業再生支援機構(株式会社企業再生支援機構法(平成二十一年六月二十六日法律第六十三号))
同法16条1項により、企業再生支援委員会は、次に掲げる決定を行う。

 再生支援をするかどうかの決定と併せて行う関係金融機関等の選定、対象事業者の事業の再生のために当該関係金融機関等が同項各号に掲げる申込み又は同意をすることが必要と認められる債権の額(「必要債権額」)の決定。

 債権買取り等

 出資

 対象事業者に係る債権又は株式若しくは持分の譲渡その他の処分の決定

 DIPファイナンス(同法35条1項)の確認の決定

 その他、特色として、以下のものがある。

・ 債務者にとって、債務免除益について、期限切れ欠損金、青色繰越欠損金の活用

・ 債権者にとって、債権の減免について、無税償却

                                                              

 

民事再生法では、会社更生法と異なり、

①    株式会社に限らず、個人、法人が利用できる。

②    担保権を拘束できない

③    租税債権を拘束できない

④    計画案の決議要件として、一般債権について、議決権の過半数という点は共通するが、民事再生法では債権者の過半数という頭数要件(民事再生法173条の3第1項)が必須であるのに対して、会社更生法では、債権者の頭数要件がない(会社更生法196条5項)。これは、会社法では大規模な株式会社が対象であるのに対して、民事再生法では、中小企業が対象であるため、一部の少数の大口債権者の意向によって左右されるのは好ましくないと考えられたため。

⑤    なお、民事再生法は従来の経営者が経営を継続するDIP型が特色とされてきたが、近時は、役員損害賠償責任のない者に限り、管財人に選任できるDIP型の会社更生法が認められた(会社更生法67条3項)。また、申立代理人が管財人を兼ねるという事例(武富士など)もある。

⑥    株主の変更

 

・破産手続では事業譲渡が裁判所の許可だけでできる(具体例として、大倉商事)。(民事再生法43条では、債務超過の場合に限り裁判所の代替許可)

 

・会社分割と、分割会社について特別清算を組み合わせたスキーム

 

・特定調停について、第三セクターや地方公社などの利用例(具体例として、大阪府や大阪市の第三セクター)。もっとも、東京都の第三セクターが民事再生手続を利用した事例もある。                                                            

 

・中小企業では、不良債権処理が進んでいない。理由は以下のとおり。

①    株主のガバナンスが機能していないし、経営者に「家業」という意識が強い。他に経営者を見つけるのも困難。譲渡すべき価値のある事業も、あまりない。法的手続の費用も多額にかかる。

②    銀行も、信用保証協会付きの融資が多いし、役員等の個人保証を取っているので、経営者への責任追及のインセンティブに乏しい。あるいは投資ファンドや債権回収会社(サービサー)に債権譲渡するスキームを選択することが多い。                                                              

 

                                                              

パート2                                                              

・私的整理ガイドライン

 メイン銀行との共同申立、メイン銀行寄せ(負担)、全銀行の同意等の欠点があり、現在ではあまり活用されていない。                                                              

 

・中小企業再生支援協議会

 中小企業が対象。 都道府県単位。 

                                                             

・事業再生ADR(産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法

事業再生実務家協会が特定紛争認証ADR第1号。                                                               

 対象企業は、負債総額100億円以上が多い。

 リスケジュールが主な目的の事例、オーナー企業でオーナーがそのまま維持したい事例、劣後債や債務の株式化(DES)、債権者が一般取引先が多い事例(ADRの対象は金融機関)という会社が多い。

 取引先の債務は、通常どおり支払えること。                                        

 申請の準備には、財務デューディリジェンスをした財務諸表と実現可能性のある事業計画が重要。修正した財務諸表は、おおむね債務超過になってしまう。なお、連結会社、海外子会社等についても、デューディリジェンスが必須。

 債務者の単独申請できるが、メイン銀行との根回しは必要。

 かえって債権回収されて、法的整理手続を選択せざるを得ない。

 申請から3~4か月で、ADR案成立。

 全銀行の同意が必要。

 債権カットは無税償却。

 債務免除益は、法人税法の7年間の青色繰越欠損金に限定されず、古い事業年度の期限切れ欠損金から使える。

 日本国内の銀行だけが対象だから、海外現地法人が外国の銀行から借り入れしている場合は、この手続の利用が困難。

 

パート3

 

・清算価値保障の原則

 処分価格を前提とした清算貸借対照表

 

・資産負債見合い方式

 旧会社更生法では、時価(継続事業価値)で財産評定した後の修正貸借対照表で算定された資産価値に、繰越欠損金を利用して債務免除益を想定し、更生期間中の予想収益を加えて、弁済率を決めていた。

 

・時価評価への変更

・事業価値

 旧会社更生法の継続事業価値から、新法では「時価」での財産評定(会社更生法83条2項)へ変更された。一括弁済が主流となった現在では、将来の収益(ディスカウント・キャッシュフロー方式)が事業価値である。事業価値を基準に、弁済率を決める。

 

・更生担保権は、被担保物件である資産の「時価」によって決まる(会社更生法2条10項)

 

・不動産、棚卸資産、有価証券やデリバティブ、売掛債権、非上場株式等について、減損会計(著しく時価が下落した場合のみ)、時価会計の考え方。

 

・会社更生法では100%減資が原則であるので、資産が株主から債権者へ譲渡されたと考えるので、時価会計。これに対して、民事再生法では株主資本は温存されるので、会社計算規則に従うべきとするのが、公認会計士の見解。

                                       

・ 法人税法33条2項3項で、会社更生法と民事再生法の区別がされているのは、上記の会計の考え方が反映されているから。

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