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- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
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対象:事業再生と承継・M&A
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2 民事再生のメリット
(1) 債権者全員の同意が不要
民事再生の再生計画案可決の要件は,再生計画決議の出席議決権者の過半数かつ出席議決権者の議決権の総額の二分の一以上の同意ですから(民事再生法172条の3),債権者全員の同意がなくとも,再生計画の認可,遂行が可能となります。
したがって,人数や債権額にもよりますが,再建に反対する債権者がいても再生手続を進めることができるというメリットがあります。
(2) 手続の信頼性が高い
民事再生においては,再生手続の流れ,内容が法定されており,裁判所や監督委員の監督に服することになりますから,経営者や経営者の代理人弁護士が主導権を握る私的整理に比べて,手続の信頼性が高いというメリットがあります。
そして,再生計画認可までの期間の見通しが立てやすいというメリットもあります(東京地裁の標準スケジュールでは申立てから認可決定まで6カ月程度)。
(3) 「代替許可」の制度
民事再生の利用方法としては,旧経営者が経営権を維持したまま,自力で経営再建を図る方法(自主再建型)と会社の事業に協力してくれるスポンサーを外部から探してきて,資本注入により,あるいは,スポンサーとなる会社に事業譲渡を行って再生を図る方法(スポンサー型)とがあります。
そして,スポンサー型における後者の場合において,事業譲渡に通常必要とされる株主総会の特別決議(会社法467条1項1号2号,会社法309条2項11号)が不要となる「代替許可」と呼ばれる制度(民事再生法43条)を利用することができます。
この制度は,会社が債務超過に陥っているときには,会社財産について株主の実質的持分がなく,したがって,事業譲渡の可否をその意思決定に委ねる必然性がないことから,裁判所が株主総会の決議に代わる許可を与えることができる制度です。
3 民事再生のデメリット
(1) 費用
私的整理と比較した場合,裁判所に比較的高額な予納金を支払う必要がありますから,費用がかかるというデメリットがあります。
民事再生手続の予納金は,監督委員,管財人,保全管理人や監督委員等の補助者として財務面をチェックする公認会計士等の報酬や実費に充てられます。
また,同じ法的整理である破産の場合と比べても民事再生の予納金は高額です。破産は,通常は清算型なのに対して,民事再生は再建を目的とするため労力等がかかるからです。
□法人の場合の予納金基準額(東京地方裁判所 平成22年5月18日現在)
負 債 総 額 |
基 準 額 |
5千万円未満 |
200万円 |
5千万円~1億円未満 |
300万円 |
1億円~5億円未満 |
400万円 |
5億円~10億円未満 |
500万円 |
10億円~50億円未満 |
600万円 |
50億円~100億円未満 |
700万円 |
100億円~250億円未満 |
900万円 |
250億円~500億円未満 |
1000万円 |
500億円~1000億円未満 |
1200万円 |
1000億円以上 |
1300万円 |
個人の場合,再生会社の役員又は役員とともに会社の債務を保証している者の申立ての予納金は,東京地方裁判所の場合(平成22年5月18日現在)は25万円になります。ただし,例外があります。
予納金は裁判所によって異なりますので,管轄の裁判所に問い合わせて下さい。
(2) 会社の信用力低下
債権者の数が少なく,また,同意を得られることが明らかな場合には,民事再生は,私的整理よりも時間がかかるといえます。ただし,簡易再生(民事再生法211条以下)・同意再生(民事再生法217条以下)といった簡易迅速な手続も用意されています。
さらに,民事再生手続を行っていることが公知となることから,会社の信用力の低下を招く危険性があるというデメリットがあります。
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