コンクリートは一旦硬化が始まると僅かではありますが、永遠に堅くなり続けます。では、コンクリートの初期の堅さは何で決まるのでしょうか。これは、単に水とセメントの比で決まってしまうのです。
意味するところは、セメントの量が少なくても、その分に見合った水しか使用しなければ、充分強度を得られると云う事です。この現象を上手く利用したのがコンクリートブロック(CB)です。CBは塀等に良く使われていますので、一般の方にもお馴染みですが、見て頂いて直ぐに判る様に隙間だらけです。表面だけでなく、芯までパサパサの状態のコンクリートを固めてあります。セメントの量が少なくても水さえ多く加えなければ、充分に強度が得られるのです。
逆に、幾らセメントの量を増やしても、一定の比率以上に水を加えれば強度は落ちてしまいます。俗に云う「しゃぶコン」です。プラントで品質管理を徹底している生コンですが、プラントから出荷した後で、水を加える様なことがあれば、指定された強度は出ません。
コンクリートプラントで調合時の強度不足の発生確率は1/1000000以下と云われています。これは統計学的に云えばゼロを示しています。しかし、実際に耐震診断等でコア採取したコンクリートの強度を測定すると、稀にに強度不足のコンクリートが発見されます。恐らく建設中の何某かの原因で、コンクリートが硬化する前に水とセメントの比率が変わってしまったのです。
鉄筋コンクリート造は他の構造と比較して格段に重い構造です。鉄筋コンクリート造の設計をする際、力任せに柱や梁の断面を大きくしても、重量が重くなってしまい、思いのほか構造強度を得られなくて、苦慮することは建築技術者であれば、少なからず経験します。
見た目は柱も太く、梁も頑丈そうな鉄筋コンクリート造ですが、「しゃぶコン」であったり、鉄筋量が不足していたりすると、重さが災いして巨大地震が発生すると脆くも倒壊すると言う事態になってしまいます。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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