オリンパス監査法人に業務改善命令~転機となるか?
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こんにちは。
公認会計士の岸井です。
先週金曜日、『オリンパスの監査法人に業務改善命令 あずさと新日本』という記事が
業界を賑わせました。
そして週明けも余韻が冷めていない状況です。
ご存じオリンパスが巨額の粉飾決算をしていたのに、監査法人が見つけることができなかった
という事件がありました。
今回、その一連の事件に対して、金融庁から担当していた監査法人に処分が言い渡されました。
監査法人の本業である「監査」の業務に不備があって、改善を求められるわけですから、
これは非常に大変な事態です。
しかし、ポイントは、今回の処分が「見つけられなかったこと」に対してNGが出たわけではなく、
・監査対象の怪しげな情報を監査法人本部に集約できる体制がない
・現場と本部の連携が悪い
といったような、しくみの不備を指摘されている点です。
とても、予定調和なオトナな処分です。
誤解している人が多いですが、監査法人は不正を暴くことが仕事ではありません。
監査法人のOKが出た=不正のない「きれいな決算書」ができました
ではないのです。
これは業界的にはもちろん常識で、
用意周到に隠されたら、(そりゃもう必死で頑張るけど、)見つけられない、
必死で頑張っても見つからなかったら、後で発覚してもそれ自体は問題にならない。
だから、近年の監査は、どちらかというと、
後で見つかっても、「あの時これだけ頑張ったんだ」という証拠をひたすら作る作業に
時間も能力を使っています。
極端ですが、マニュアルにある手続きを全部やったんだから仕方ないよねって。
でも、世間一般の期待は違うんですよね。
見つけられないなら監査いらないじゃんって。
この処分が、監査の在り方を少し転換させる処分になるか、ならないか。
ならないかなぁ。。。
このコラムの執筆専門家
- 岸井 幸生
- (東京都 / 公認会計士・税理士)
- LBA会計事務所 代表
社外から会社のビジネスを支えるプロ社外役員
顧問税理士以外で何でも相談できる人が欲しい、を提供しています。クライアントの皆様と夢を共有し、ビジネスに興味をもって最適なアドバイスを行っていくことが一番の貢献です。
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