顔を洗って蛇口を閉めると壁からトントントンと不思議な音が聞えてくる事があります。あれは何でしょう?
あれは水圧の変化で給水管が膨張収縮を繰り返す音なのです。
油はその分子構造の特性から体積が大きく変ります。それを応用したものが油圧サスペンションです。衝撃が一挙に加わっても油の体積が変化してクッションの役目を果たします。
油でなく水だと分子構造の違いから体積が殆ど変化しませんので、そのまま衝撃が伝わってしまいます。
水道の水が勢い良く流れて出て急に蛇口を閉めると、蛇口付近の水の圧力が一気に高まります。しかし油の様に体積が変化しませんので、給水管自体が膨張することになります。水道管が縦にも横にも伸びるのです。
水道管は金具で壁に固定されていますから、膨張した管と金具の間に摩擦が生じます。金具が管の膨張に抗し切れなくなって管が移動する時にトントントンと云う音が鳴るのです。
解消するには水圧を逃す機構が必要になります。油以外にも空気も体積が大きく変化しますので蛇口付近に空気溜りを造ってやると圧力の逃げ場となって音はしなくなるはずですが、死に水(溜まって流れない水で衛生上都合が悪い)を作ってしまう可能性があります。
トントントンと云う音がしてもその為に家に不都合が起こることはありませんので、そのままにしておいても問題ありませんが、どうしても気になるのであれば、蛇口を閉めるときゆっくりと閉めて末端の圧力が上昇しない様に気をつければ音はしないはずです。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
「●Coffee Break」のコラム
大阪市立住まい情報センターで住まい相談会を開催します。(2018/05/18 14:05)
ゴム手袋で握る寿司(2017/01/19 10:01)
今年はマイホームをと思う方はお読みください(2017/01/01 16:01)
原発再稼働で注目されている重力加速度(gal)(2014/03/19 08:03)
建築は技術と文化の両方の性格があります。(2014/02/04 08:02)
このコラムに類似したコラム
伝承と家相 岩間 隆司 - 建築家(2014/09/11 12:38)
地震のとき建物にはどれくらいの力が掛かるのか? 福味 健治 - 建築家(2013/04/18 09:06)
構造見学会のお知らせ【SE構法】 富樫 孝幸 - 建築家(2011/12/07 10:00)
「丈夫で長持ち」と言うお話し 青沼 理 - 建築家(2011/11/15 11:39)
木組の家・登梁の家 佐藤 宏尚 - 建築家(2011/10/26 16:02)