また全国で大荒れの天気のようです。
先月、強烈な豪雨により甚大な被害を受けた広島市八木地区。
ここは本来『八木蛇落地悪谷』という地名であった、ということを知りました。
土砂災害が起こるよ。という戒めが地名に込められ、伝承されていたのでしょう。
その先人達からの伝承が、活かされていなかったことは明らかで、残念です。
伝承の意義ということで、私は『家相』のことを思い出しました。
我国に伝わる『家相』とは、住宅をつくるさいに頼りにされてきた伝承です。
間取りは “こうしてはいけないよ” という、いはば禁じ手集といえましょう。
たとえば
長方形や正方形などの四角形から、角の部分が『欠ける』平面構成になる間取りは
家族や財産も『欠ける』とされ、家相では忌み嫌われます。
角が欠けた平面構成では、横方向から受ける応力は均等に分散せず、四角形の間取り
よりも構造的に不利なります。
こういった間取りの住宅で、地震や台風の災害時に大きな被害が出てきたのでしょう。
あるいは
裏鬼門(南西)の方向にあたる部分に『火』を設けてはならない。とも聞きます。
『火』のひとつは炊事場、つまり台所です。
台所に置かれた食品(なまもの)が西日に当たり腐ることを避けることが目的です。
これは、冷蔵庫など食品保存の技術が発達した現代では、意味をなさなくなりました。
このように、家相には
根拠を突き詰めれば、統計や理論など客観的な裏付けがあるものが少なくありません。
きっと、家相に限らず、伝承されている事柄の多くに言えることです。
その客観的な裏付けを、現代の目で冷静に見つめ直すことができれば
言い伝えを無下に扱ったり、逆に、いたずらに恐れたりする必要もなくなるはずです。
先人の知恵や経験を活かす。とは、そうゆうことだと考えています。
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このコラムの執筆専門家
- 岩間 隆司
- (東京都 / 建築家)
- 株式会社ソキウス 代表取締役
スマートに シンプルに 住う。 都市型住宅・集合住宅
都市の厳しい条件のもとでも、住宅や集合住宅を実現させてきました。住宅計画における制約は、生活空間に個性が生まれる、ひとつの契機として、ポジティブにとらえております。
03-5735-9700
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