週刊新潮に「備蓄用品選び」の取材を受けました。 - 各種の防災対策 - 専門家プロファイル

ソナエルワークス 代表
静岡県
備え・防災アドバイザー

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:防災

松島 康生
松島 康生
(危機管理/BCP/防災計画コンサルタント)
松島 康生
松島 康生
(危機管理/BCP/防災計画コンサルタント)
松島 康生
(危機管理/BCP/防災計画コンサルタント)
松島 康生
(危機管理/BCP/防災計画コンサルタント)

閲覧数順 2024年04月26日更新

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

週刊新潮に「備蓄用品選び」の取材を受けました。

- good

  1. 人生・ライフスタイル
  2. 防災
  3. 各種の防災対策
仕事・メディア掲載実績 雑誌掲載実績

こんにちは、備え・防災アドバイザーの高荷です。

週刊新潮さんに、地震対策における備蓄用品選びに関する取材をしていただきました。3月22日発売号向けということでの電話取材だったのですが、方向性が変わったとのことで残念ながらお蔵入り、送っていただいた本誌を読んだところそうそうたるメンバーの特集記事だったので、うーん悔しい、漏れてしまったのかなという出来事でした(All About プロファイル 活用事例)。

■掲載(予定だった)媒体
・新潮社
・週刊新潮
・2012年3月29日号(3月22日発売)

■内容
「決定版 間違いだらけの『備蓄グッズ』選び」

■取材形式
・電話取材
・時間は1時間
・インターネットの検索によりコンタクト


ちょうどこの日は、電車好きな5歳の息子と新幹線ぶらり旅をしており、「こだまなう」とつぶやいて遊んでいたのです。その乗車中に新潮社の記者さんから連絡をいただいたのですが、電話取材の際に「今日は息子さんとお楽しみのところをお邪魔しまして申し訳ございませんでした」と言われ、あー、ソーシャルってかなり見られているのだなと実感した後日談があります。

以下、電話に当たって事前に用意していた、地震対策における優先獣医上位の対応です。


地震対策には優先順位があります。

1)死なない環境作り
2)早い生活再建の準備

→避難所へ行かなくても住む準備
→避難所生活を快適にするための準備


地震対策といえばまず水とカンパンを想像しますが、地震で餓死するというのはきわめて希なケースです。災害大国日本の場合、少なくとも3日間待てば何かしらの支援を受けることができます。3日間であれば飲ず食わずでも死ぬことはありません。

「被災者の体験談に基づいた防災グッズを用意」「震災時に本当に役立ったとされるグッズベストテン」いずれも、地震で「死ななかった」人の話です。大変貴重な情報に基づいた役立つ道具ですが、優先順位を考えれば話は別、死者には水も缶詰も不要なのです。

必要なのは、地震で亡くなった方が考えたであろう話、または大けがをした方の話、それを元に今後の対策を考えることです。まず地震の「揺れ」で死なないこと、そしてその後の付随災害(津波・土砂崩れ・火災)で死なないこと、さらにケガを避けること、この順番で対策を考えることが鉄則です。


死なない環境作り

1)耐震補強
2)家具の固定
3a)ガラスの飛散防止
3b)扉の固定
4)非常持ち出し袋の準備(後述します)

 (※非常持ち出し袋は、家が海や川の近く、崖の裏側、木造住宅の密集地など、津波や土砂崩れや火災に襲われやすい地域で必要な準備です。とりあえず走って逃げる際に最低限必要な物、だけを入れておきます。避難所へ持って行くような物とは全く別物の準備です。)

優先順位が高い物が終わってから、低い方を行います。家がつぶれてしまえば家具の固定に意味はありません。食器棚が転倒する状況で扉の固定は無意味です。ガラスが散乱する部屋から、安全に非常持ち出し袋のところまではたどり着けません。


個別解説

1)耐震補強

耐震補強を行うかどうかの目安の1つに、築年数があります。

 ▼1981年6月1日に改正された建築基準法

-この基準を境に耐震性能が大きく異なっており、これより古い建物には耐震検査が義務づけられています。これ以降に建てられた住宅であれば、地震で即倒壊ということはないはずですが、余震が続くと危険度は高まりますので、外に避難できるように持ち出し品をまとめておけると安心です。


▼2000年6月1日に改正された建築基準法

-この建築基準法によって定められている耐震基準が現行の最新です。これ以降に建てられた住宅であれば、地震直後に倒壊するということはないはずです。 

※上記の日付以降に「完成」した日ではなく、上記の日付以降に「建築許可」を受けているかどうかが重要です。戸建ての場合建築許可から完成まで半年ほどですから、1982年以降か、2001年以降に完成した住宅であるかどうかが手っ取り早い目安確認といえます。マンションは建築許可から完成までもっと長い期間が必要ですから、注意が必要です。

1981年の基準以前の許可で建てられた住宅の場合、耐震検査に行政から補助金が出る場合もありますので、まずは耐震検査を行うところから始めましょう。


2)家具の固定

背の高い物、重量物から固定してください。食器棚、タンス、冷蔵庫、テレビ、ピアノなどは特に。持ち家であれば、L字金具やワイヤーで壁に直接固定してください。ただし壁が薄い場合壁ごと倒壊する恐れもあるので、理想は工務店に家具ごと壁を補強してもらうことです。

賃貸であれば、まず上記のような固定をしてよいかどうか大家に相談し、だめならば突っ張り棒やクッションゲルなどで固定してください。突っ張り棒などは、直下型(阪神・淡路大震災時のような)地震の場合、下から突き上げられる揺れで天井を突き破ったりすることもありますが、最終的に倒れてしまったとしても、数秒を稼げれば死なずにすむ確率が高まります。

自宅が高層マンションである場合、建物の倒壊よりも家具による被害の方が心配です。自宅が上階になればなるほど「大地の揺れ」は増幅され、固定されていない家具が室内を「飛び回る」可能性があります。家具の固定は絶対に行ってください。


3a)ガラスの飛散防止

寝室の窓ガラス、風呂場の鏡など、特に無防備な状態になりやすい部屋のガラスから対処してください。その後順番に各部屋を対応します。ガラス扉の食器棚、ガラス製のテーブルなどがあればそうした物も同じ対応が必要です。

とにかく割れたガラスは凶器、ただでさえめちゃくちゃになった部屋に、ナイフをばらまく必要はありません。なおフィルムを貼る際には、ガラスが飛び出してきて欲しくない面に張ってください。窓ガラスなら部屋側、食器棚なら外側です。


3b)扉の固定

キッチン上部の物入れ、食器棚など、高い箇所の開き扉には耐震ラッチを取り付けて、揺れても物が飛び出さないように処置をしてください。またできるだけ高い位置の棚の中には、重量物や鋭利な物、また燃えやすい物を入れておかないようにすると安心です。


4)非常持ち出し袋

自宅の場所が下記に属する場合は、避難道具一式をまとめておきます。

・海沿い、川沿い、上流にダムがある谷間→津波・河川氾濫からの避難準備。
・崖沿い、山間部→崖崩れからの避難準備。
・原子力発電所の近隣(およそ50~100キロ圏内)→原発事故からの避難準備。
・工場や石油備蓄基地の近隣→大規模火災からの避難準備。

この持ち出し道具は、玄関や物置、つぶされない位置にある自家用車の中など、3秒以内に取り出せる場所に普段からおいておきます。押し入れや倒れやすい棚の中に収納されており、「大地の揺れ」ですぐに取り出せなくなった場合は即時にあきらめてください。これを取り出そうとしたばかりに避難が遅れて死亡、という事態は避けるべきです。

入れ物は両手を自由にするため絶対にリュックサックにしてください。またこの避難道具は「迅速」さが求められる事態で使用しますので、重くしてはダメです。「背負った状態で走れる重さ」にしてください。そうでなければ、避難グッズが重くて走れず津波に飲み込まれて死亡、という可能性もあり得ます。

食料は1日分で十分です、着替えもいりません、通帳や印鑑も不要です、走って逃げるために必要な最低限で十分です。その後の避難生活のためのいわゆる「地震・防災グッズ」は、「津波・崖崩れ・火災」による生命の脅威が去ってから、ゆっくり取りに戻れば十分です。


避難所に行かなくても住む準備を

震災時には必ず避難所に行かなくてはならないようなイメージがありますが、そんなことはありません。

・自宅が倒壊した、また余震が来ると倒壊する恐れがある。
・家具やガラスが散らばっており、入れる状態ではない。
・自宅の隣の建物が崩れてきそうで危険である。
・水や食料の備蓄が一切無く、食事が取れない。
・ライフラインが全滅しており、生活ができない。

上記のような条件が当てはまる場合は避難所へ行く必要がありますが、逆に上記を回避することができれば避難zんよへ行必要はありません。


前述の「非常持ち出し袋」が必要な地域に住んでいる場合(浸水・土砂災害・放射能・火災)の恐れがある場合は、おそらく高い確率で避難所へ行く必要がありますので、走って逃げるための防災グッズとは別に、避難所へ行くことを前提とした防災グッズを用意して置くべきです。

この場合は、自分だけにとって重要度の高い物から順に用意するようにしてください。例えば目の悪い方であれば予備のめがね、歯が悪い方であれば予備の入れ歯、持病の薬、子供が好きなおもちゃとおかし、おむつや赤ちゃん用品、生理用品などです。要は避難所でなかなか配られないが、無いと困るものを優先的に持ち込むという考え方です。


一方緊急避難の心配が少なく、住宅の耐震性がある程度しっかりしており、家具やガラスの処理がきちんとできているのであれば、10日分程度の水と食料と携帯トイレ、カセットコンロと予備のボンベ、少し多めの着替えなどがあれば、避難所へ行く必要はありません。

家族世帯であれば、冷蔵庫やキッチンのあちこちにある食品をかき集めるだけでも数日分の食料にはなるはずです。冷凍食品は数日かけて自然解凍していきますから、それまでは冷蔵庫を冷やすための冷媒として活用し、溶ける頃に食べるようにしましょう。

避難所暮らしはかなりストレスがたまるものですから、できるだけお世話にならないような準備をしておくだけでも、地震への準備としては有効な対策と言えます。


以上

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(静岡県 / 備え・防災アドバイザー)
ソナエルワークス 代表

備え・防災は、日本のライフスタイル。

「自分と家族が死なないための防災対策」と「経営改善にもつながる緊急時に役立つBCP」のポイントを解説するフリーの専門家。自然災害から原発事故、企業の危機管理まで分かりやすく実践的なアドバイスに定評があり、テレビや各メディア媒体への出演多数。

カテゴリ 「仕事・メディア掲載実績」のコラム

このコラムに類似したコラム

災害時、必携!「帰宅困難対策」⑤外出時に使えるおススメ防災アプリ 松島 康生 - 危機管理/BCP/防災計画コンサルタント(2012/12/13 07:00)

災害時、必携!「帰宅困難対策」⑧外出時に使えるおススメ防災アプリ 松島 康生 - 危機管理/BCP/防災計画コンサルタント(2012/12/16 07:00)

災害時、必携!「帰宅困難対策」②外出時に使えるおススメ防災アプリ 松島 康生 - 危機管理/BCP/防災計画コンサルタント(2012/12/10 07:00)

スポーツ報知に「家庭の地震対策」の取材記事が掲載されました。 高荷 智也 - 備え・防災アドバイザー(2012/04/25 20:36)

女性セブンに「家庭内の地震対策」取材記事が掲載されました。 高荷 智也 - 備え・防災アドバイザー(2012/04/25 13:44)