ポトフのポとは? 2月の料理基礎講座にて - 料理教室 - 専門家プロファイル

塚本 有紀
フランス料理・製菓教室「アトリエ・イグレック」 主宰
大阪府
料理講師

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対象:料理・クッキング

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ポトフのポとは? 2月の料理基礎講座にて

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2月16日17日
料理基礎講座にて


連続講座と同じパルメザンのムースを、基礎講座は少し形を違え、フィユタージュの板にのせてみました。
さわやかなレモンの香りのアペリティフとともに。先日浸けたレモンの皮のリキュールをカヴァで割っています。

1日目、ムースを絞り出した口金はすっと細いめ。美しいけど、下に敷いた柿のピュレにまけてパルメザン味が弱いようです。「おいしいけど、何だろう?」という感じ。
そこで2日目は口金を1サイズ、太くしました。直径にしてほんの2mmほどの違いですが、明らかに「パルメザンのムースを食べている」という実感があります。
ほんとに小さなことですが、味に与えるインパクトとバランスは形状によっても大きく違うと、改めて感じます。



前菜はスモークサーモン入りのスクランブルエッグ
上品にとろんと仕上げます。
スコットランドEcosse産のスモークサーモンを見つけたので、使ってみました。
フランスで最上等はスコットランド産。とろっと柔らかく、ちょっと塩辛いのですが、おいしいものです。旅行に行くと必ず食べたい味の一つ。たとえばフォーションのウインドウには何種類もずらりとサーモンが並び、1枚スライスしてもらうだけで聞き返したくなるくらいの値段ですが、試す価値はありです。



鴨でポト・フpot-au-feuを作ります。

フランス産のバルバリー種の鴨の脚を使います。バルバリー種は体が大きいので、脚も大きめ。

ポトフのポpotとは、壷とか鍋という意味です。フfeuとは火。つまり火にかけた鍋というような意味です。他にもポテpoteeやポタージュpotageも、potから派生した言葉です。お鍋を火にかけて、ことこと煮て作る料理を思い浮かべることができます。

さてポトフは鍋に水と野菜と肉を入れてぐつぐつ煮たらできる簡単な料理、というイメージですが、じつはこの3つを同時においしく仕上げるのは、簡単なことではないのです。
(フランスでも、おいしく作るために、料理人も料理上手も喧々諤々うんちくを傾ける料理だと言われます)
下手くそに作ると、肉は味が抜けてスカスカ、野菜はぐずぐす、ブイヨンは薄くて寝ぼけ味・・・ということになりかねません。
肉を入れるのは水からなのか、湯が沸騰してからなのか。塩を入れるタイミングと量。水の量の設定、どの水を使うのか、などなどいろんなポイントがあるのです。


使う野菜はポワロー、人参、大根、セロリ


他にちりめんキャベツにじゃがいも


ソーセージも作って入れます。

具だくさんポトフの出来上がり。
鴨は旨味が多く残り、ほろほろ。ブイヨンもしっかりと濃くおいしく出来上がります。


デザートには洋梨のソルベを添えます。
ル・レクチエは年内でいったん終わるのですが、今頃ほんの一時だけ出てきます。

これをシロップ煮にして

ピュレにし、ソルベに



クイニャマンkouign-amann

クイニャマンはブルターニュの地方菓子です。
以前ブルターニュの玄関口レンヌの街に、そば粉のクレープを食べに行ったときのこと。広場の前のお菓子屋さんにパリでは見慣れないお菓子を見つけました。
「何だろう?」 読み方さえもよく分かりません。そもそもフランス語にKから始まる単語は、なぜかとても少ないものなのです。
1個買ってかじってみました。
「わあああ、おいしい!!!」
と友達と大絶賛し、すぐに取って返し、もう1個買いました。街をぐるりと見て回り、お目当てのクレープのお昼を食べて、さあ帰ろうか、というとき。誰というともなく、
「もう一回行っとく?」
と、結局3回も同じお菓子屋さんに。
それがクイニャマンでした。以来、私の中で長らく「地方菓子ナンバー1」に輝き続けています。
当時、パリでは地方菓子にはなかなかお目にかかれなかったので、その後でフォション(シェフはピエール・エルメの頃)に小さいサイズのクイニャマンを見つけた日には、小躍りするくらいにうれしかったものです。
いつもあのときのレンヌのクイニャマンの味に近づきたい、と願いながら作っています。

ケルトの流れを汲むブルターニュの言葉で、kouignはお菓子とかパン、amannはバターを意味するそうです。昔むかし1865年にドゥアルヌネという港町のお菓子屋さんで、パン屋のマダムの失敗から生まれた、と言われています。あるときパン生地にバターを置いたまま忘れてしまい、もったいないので、砂糖をふって折り畳んで焼いたものなのだとか。
本来的には発酵有塩バターを使うこと、綿棒でなく手のひらを使って伸ばすもの、そして大きな丸くて平らな形であるべし、らしいのですが、手で伸ばすのは至難の業! (無理なので、私は綿棒を使います)
いつの日にか、地の果てフィニステール県のドゥアルヌネに行って、そのお菓子屋さんに行ってみたいなあとずっと思い続けています。

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