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「更正の申出」について.2~更正の請求期間延長が与える影響

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相続専門税理士はこう思う

皆さん、こんにちは。


先週、アップしたコラムでは「更正の申出」について簡単に取り上げました。


「更正の嘆願」という手続きと「更正の請求」という手続きの間を取ったような「更正の申出」という手続きが出来たことは、納税者にとってはやはりプラスに働くと思います。

しかし、「更正の請求」期間が5年に延びたという事は、一見納税者にとってプラスの影響だけのようにも思えますが、実は、必ずしもそうではないのです。


納税者にとって「悪い」(マイナス面)と捉えるべきかどうか、私自身、疑問もありますが、所得税や消費税等、従来の税法上、税務署長が行う事が出来た「増額更正」(一言で申し上げれば『追徴課税』)の期間も、この「更正の請求」可能期間が延長されたことに伴い、3年から5年に延長されているのです。


そこで、私がまず思うのは「減額更正」や「増額更正」の可能期間が「延びた」・「延びない」で一喜一憂するのではなく、やはり最初の申告から正しい(最適な)申告を行うように努める、つまり、正しい(最適な)申告を行ってくれる専門家(税理士)を選ぶことが大事なのではなかろうかということです。


そして、実はこの度の更正の請求の改正では更正の請求可能期間の延長以外に他にも、プラス面に作用する項目も増えました。

具体的に申し上げると、従来は確定(期限内)申告書を提出しなければ適用が認められなかった項目のうち、一部について更正の請求(修正申告)により事後適用を認める、という措置が出来ました。

例えば相続税・贈与税でいいますと

①配偶者に対する相続税額の軽減

②贈与税の配偶者控除

③相続税の特定贈与財産の控除

があります。

(平成23年12月2日以降に申告書の申告期限が到来する相続税や贈与税から適用開始)



また他の税目にも、従来は「修正申告」を提出する場合であっても、「確定申告書」に記載した金額の範囲内でしか認められていない「控除額」が、「更正の請求」(修正申告)によって、法律上認められる最大限まで認められるようになったものもあります。

(例えば、所得税の「青色申告特別控除」など。平成23年12月2日の属する年分の所得税から適用。つまり、平成23年に発生した所得からが対象となります)


私自身も税理士の一人として、「増額更正」の可能期間が延びたという事は、身の引き締まる思いが致します。

私が税理士登録をした際に、「税理士法第1条*(下記注参照)の精神」を税理士会の先輩税理士の皆様から叩き込まれましたが、改めてこの税理士法第1条を読み返し、税理士の免許を返還するその時まで税理士としての使命を果たさねばと思った次第です。




注*「税理士法第1条」…(税理士の使命)

税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。

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